当然のように我々が勤務する農業高校にも影響が出始めた。クラスの殆どが農業を目指す活気ある生徒が段々減り、ついには、定員割れを起す始末である。「何とかしなくては」心配事が現実のこととなった。文科省や都道府県の教育委員会では「普通科志向」を理由にドンドン統廃合を進めた。北海道などではそれまで78校有った農業高校が半数にまで減った。追い打ちをかけるように定員割れを2年間以上続く場合は農業高校間の統廃合を進めるという強硬なものであった。
当然のように生徒募集に走った。そして、苦肉の策で出た言葉が「後継者でなくても農業に関係ない生徒を入学させ農業の理解者」を養成する。にシフト変更して定員を確保する努力をした。都会の子どもに来て貰うと言うことは、単なる生産の授業では魅力が無く誰も相手にしてくれない。各学校争って知恵を出し汗をかいた。酪農地帯ではチーズにバター、ヨーグルトにアイスクリーム。ソーセージ、ハム、ジャーキーなどの乳肉製品。畑作地帯ではスイーツ、ジャム、ケチャップ、パンなど。米地帯では餅米の加工品、転作で得たそば粉を使ってのそば打など。いわゆる付加価値農業の始まりである。また、観光地などでは農業と観光を結びつけたり、体験を取り入れたりして特色を出した。
小生もこれからの時代は農村こそ高齢化が、なお一層多くなると予想して、老人の介護を農業教育の中に取り入れた。最初はなぜ福祉と農業が結びつくのか分らないと関係機関や教員に反対された。人を育てるのは生き物を教材にするから理解できる。だから今までの農業高校では生徒がそれを理解して育ってきた。福祉も人である。その人に接することで自分が訓練されて成長していく。農業は経験である。その知識・技術を介護しながら老人から学ぶ。健康で長生きは外に出て植物や動物に触れて現実になる。極めつけは、専門学校に行かなくても介護福祉士の資格が取れる。と説得して始まった。なんと、そのクラスは40名の定員に78名の応募が有った。
不思議なものである。定員以上の応募があると、活気が出て後継者も入ってくるし都会の子ども達の中からも多くが将来農業をやりたいと希望者が続々。その子達を高校卒業後3から4年農家や市場に研修の機会を与え担い手の予備軍を育てる。これからの時代高齢者や後継者だけに頼っては農業は成り立たない。やる気のあるバイタリティー溢れる若者を真剣になって育てるのが我々の使命である。
NPO法人 農業塾風のがっこう
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