新年を迎え、今なお、世界の殆どが不景気風邪におかされ、流行の新型インフルエンザと重なりあって見える。そして完治するどころか益々猛威をふるい歯止めがきかない状態が続いている。我が国などは、大企業を中心に、その影響をもろに受けて離職者が相次ぎ失業率がドンドン上昇し、昨年12月末には5.7%と留まるところをしらない。政治や行政、企業もその対策を模索しているが手の打ちようがない。
私は、40数年農業教育に関わり、こんな危険時代が来ると予測していた。それは、一次産業が衰退し、自動車や家電製品を始めとする急激なニセモノGNPの伸びである。物事を進めるには「足腰がしっかりして、じっくりと考え、見極め、着実に歩む」。そうしないと必ずそこには深い落とし穴がある。そんな危機感を抱いて市町村の首長や農業に関わる人達に忠告してきたが、自分を含めその対策を立てることが出来なかったことが悔やまれる。
ここに来てやっと、農業や林業が脚光を浴びてきた。以前は、景気の悪化に伴い就労が厳しくなると、国や地方自治体の対応として、その時流行りの資格を取得させるだけで、肝心な職に結びつけるような出口が無いままその場逃れをしてきた。
底冷えが続くいまは、「資格が有るから就職出来る」と言うことにはならない。そこで考えられるのが、農業や林業、漁業への体験や研修を行い、知識・技術が身についた者にその道のチャンスを与えることである。
といっても、農業などは、半年や1年で経営技術が身につくほど甘くは無いが、何も経営だけが農業ではない。農業にはそれに付随する職業が幾らでもある。
農業者は生産に追われ、それが分っていても、なかなか付加価値の農業には結びつけられない。そんな時、庭先直売や都会での出前、ネット販売、農畜産物加工、観光やグリーンツーリズム、体験や研修生の指導等々数え切れないほどの職業を農家に変って行うことが出来たら、自給率の向上は勿論、就労の解決は十分出来る。
知り合いの農家へ研修に入った若者。当初は担い手を希望していたが、新規就農での自立が難しいと分ってからは方針を一変した。研修で農業の厳しさ、楽しさ、生産工程や栽培の手法、農村の歴史と文化等。身につけたノウハウを駆使して農業・農村の代弁者になろうと販売者を目指した。我々の主催する道庁赤れんが前広場での生産者出前「愛食フェア」で、ぎこちないながらも説得有る販売力は2、3回目には多くのリピータを得、自信となり、何軒かの出店者の依頼を受けて本格的な直売を始め、ホテルやレストランに売り込みを行っている。
その他にも、大学の研究室の学生は農家の依頼を受けて、小学生の田植えや稲刈りなどの体験指導を行い、将来は教育ファームを目指したいと張り切っている。このように農業を活用してベンチャーを起す機会は幾らでもある。今こそ多くの人が農業の必要性を認識し、労働力として協力し、そこから得た多くの知識・技術を活用して自らの道を究める。そんなことが実現したとき農業の安定と自給率の向上、失業に歯止めがかかり、明るい社会が構築される。
写真・稲刈り体験をする小学生
写真・赤れんが前広場で開かれた「愛食フェア」の様子
NPO法人 農業塾風のがっこう
http://www.kaze-school.com/

