自民党道連

新年にあらためて、生きることの厳しさを思う

 明けましておめでとうございます。皆さんはどんな新年を迎えられましたか?

 私は親しい仲間たちと、札幌の街中にある老舗の旅館、中村屋旅館でとても穏やかに新年を迎えました。札幌近郊の温泉場、定山渓温泉の宿をと思いまして11月に入って手配したときには、時すでに遅し。ここというところはどこも、すでに予約で一杯でした。そこで、街中だったらと、中村屋さんに聞いたところ空きがあり、3部屋予約しました。

 古いですが静かで、お料理も美味しく、深夜に年越しそばも振舞って下さり、元旦は餅つきをしてくれて、つきたての餅を雑煮やあんころ餅などで頂きました。しかも、お正月にもかかわらず、一泊1万3,000円は安くないですか?ということで、数年ぶりにおせち料理も作らず、のんびりとさせて頂きました。

 2日にトークDE北海道の取材が早朝からお昼くらいまであったものの、その後ものんびりしていて、だんだん精神状態と体調が悪くなってきました。貧乏性って言うんでしょうか。3日以上休むと気分が滅入ってくるんです。社会人として働くようになってから、ずーっとフリーランスの私としては仕事が無い、仕事をしない、休むということは基本的にあってはならないことですから。

 さて、ニュースを見ていると年末、突然解雇された驚くほど大勢の派遣社員の人たちが、住むところも無く派遣村なるところで年を越した様子が映し出されます。まるで、地震などで突然住むところを失った被災者のようです。支援活動をしている人たちが、炊き出し用の食材が不足していると言うことで、物資の提供を呼びかけていました。宿泊場所として地域の体育館や、厚生労働省のロビーの解放を求めていました。

 こんなことが起きるなんて、誰が想像したでしょう。まさか自分が突然、ホームレスになるなんて、去年の秋までは考えてもみなかった人がほとんどでしょう。去年10月から今年3月までに失業する人たちは全国で8万人とも10万人とも言われています。何の解決策も見えず、この状態はいつまで続くのでしょうか?

 そして、その影響は家族にまで。就活で走り回りやっと、内定を貰った大学生は企業側の都合で一方的に、内定取り消し。大学の推薦入学が決まっていた高校生も入学金や、授業料を払える見通しがつかず、進学をあきらめ、中学生までも高校進学をあきらめて就職の道を選ばざるを得ない。一番大切な、教育を受ける機会すら奪われてしまう。

 先進国でありながら、当たり前の生活ができなくなるなんて。こんな日本に誰が、何がしたのでしょうか。少なくとも、私たち庶民は日々こつこつと働き、大した贅沢もせず、生きる為に努力を重ねてきました。どんどん良くなっていくはずだったし、明日に不安を抱くことも無くなっていく事を信じて頑張ってきたのに。今の日本は全く、先が見えないのですから。

 私は、大学在学中にみのもんたさんの事務所でお仕事をさせて頂くようになった事をきっかけにTVリポーターとして仕事をするようになり、22歳でTBS森本ワイドモーニングEyeという番組に出演するようになってからはフリーランスとして、以来25年自力で仕事を得てきました。私たちフリーランスは実力がなければ仕事が続きません。ですから、いつも緊張感を持ち、評価される努力を人一倍し、新しい情報にアンテナを張り、人脈づくりに走り回ってきたのです。

 実力や評価によっては、収入や華やかさが同世代のOLの何倍も、なんて時期もありましたが、ボーナスもなければ、退職金も、何の保証も無いのです。長く働いても、蓄積されるものがないのです。自分で掛ける年金と、健康保険だけが頼り。それさえも、収入が減ったり、無くなったりすると払えないのですから。

 仕事一本幾ら...日雇いのようなものですから、病気をしても休めない。盆、正月といえども休んでいられない。しかも、私のように、もうすぐ50歳、なんて年齢になってくるとそろそろ覚悟をしておかないと、「おばさんはもういらないよ。明日から来なくっていいよ」と言われても、雇用契約書を交わしていないのですから、文句の一つも言えません。非正規雇用者の解雇、首切りは人事ではありません。

 私には、高校2年の息子がいます。東京の大学への進学を希望しています。私も何とか頑張って行かせてやりたい。でも、今の生活がいつまで続くのか、私の働きで、大学に行かせてやれるのか。本当に、本当に不安です。ですから、どんなに疲れていても、休みが無くても、スケジュール帳がぎっしり埋まっているとほっとするのです。どんなにきつくても働いていると安心なのです。

 実は、時代とは関係なく、私はフリーランスはいつどうなるかわからないという怖さをずーっと以前から感じていました。ましてや子供を抱えて女一人で働いていて、息子にだけは成人するまで何とか平均的な暮らしをさせてやりたいと思うと、フリーランスはすごく不安でした。ですから、リポーターとして働く傍ら、30代半ばから夜は、飲食店の経営もしてきました。

 しかし、飲食店の経営も時代の流れとともに、厳しくなり、昨年から仲間と新たに会社を起こし、今までの経験や人脈を生かせる、企画やプロデュースの仕事も始めました。新しい事を始めるのは、ストレスも溜まります。体も疲れます。寝る時間はどんどん無くなります。体調が悪くっても病院に行く暇もありません。でも、生きていく為に仕方が無いのです。その位、生きていくと言うことはもともと、大変なことなのですから。

 もう13年続いている、私の一日です。

 6時   起床 息子のお弁当、朝ごはん作り。
 7時15分 出勤
 7時30分 UHB到着 打ち合わせ
 8時30分 スタジオにてリハーサル開始
 9時55分 放送開始
 11時20分 放送終了
 12時    お昼ごはん
 午後    自分の会社の営業・打ち合わせ・現場作業
 18時    帰宅 息子の夕飯作り
 19時30分 自分の経営する飲食店へ出勤
 午前2時  閉店
 午前3時  就寝

 合間で、原稿を書いたり、企画書を作ったり、講演会の依頼があって出掛けたり。まる一日休みという日は、本当に正月ぐらいのものです。平均睡眠時間は3~4時間。でも、辛いとか苦しいとか休みたいとか、思っていませんよ。自分で選んだ道ですから。不況も様々な問題も自分で乗り越えていかなければ。間違いなく、これからの数年は今までに無く、厳しい時代になるでしょう。仕事は待っていても向こうからはやってきません。

 先日、あるタクシーの運転手さんが自分で作っているイベント表を見せてくれました。どこで、どんなイベントをやっていて、どの位人が集まるか、インターネットで調べてできるだけ効率的にお客さんを乗せられるか、運行プランを立てているんです。ホテルで行なわれる学会や、大きな宴会のスケジュールまで調べていました。

 年末、呼んだタクシーの運転手さんが「お待たせしてすみません。タクシーの台数が少なくって」と言うので、「タクシーも利用者が少ないから、運転手さんも出勤しても仕方がないって休むんでしょうね」と言うと、「ところが、年末、年始はお酒を飲むのでタクシーに乗る人が結構居るんですよ。僕なんか今日、ずっとお客さん乗せてますよ。食事する暇もないくらい忙しいです。正月も休まず働きますよ」

 ここが違いなんですよね。良かった時代ほど、顕著に努力は実を結ばないかもしれませんが、努力する人間としない人間の差は必ず出る。私はそう思います。

 年末に職を失った人たちの大半が働き盛り。派遣村には19や20という若者まで居て、これからという若い人たちがすでに絶望している姿を見て驚くばかりです。寒さに震え、自ら命を絶つことさえ考えてしまう、追い詰められた国民に救いの手を差し伸べることができない無能な政府に、何とかしてくれと訴えることしかできない、どこか他力本願で生きている日本人。

 本当にやりたい仕事ではないから、雇用条件が自分の希望に合っていないから、人間関係が嫌だからと、あえて派遣社員やフリーターの道を選んできた若者たちは、気楽で自由だったかもしれない。そしてその姿を見て、後に続く者たちもそれも良しと考えていたに違いない。せっかく決まった会社を自分には合わないと数ヶ月で辞めると言い出した若者に、親や、生きることの大変さを知っている大人たちが「もう少し辛抱したら...、石の上にも3年だよ。楽しい仕事を探すのではなく、辛い仕事が楽しくなっていくんだよ」と必死に説得しても言っても耳を貸さなかった。

 今回の派遣切りという現実を目の当たりにして、これから社会に出て行く若者たちに、働くということの責任や厳しさ、そして、自己主張ばかり、不満ばかり言ってきた自分を省み、職があるということ、働けることの喜び、そのことに感謝できる気持ちを持って欲しい。そして、社会人として自分の仕事を決めるときには苦労して決めて欲しい。簡単に就いた職は、簡単に辞めてしまうものだ。努力は高いスキルになる。

 フリーランスの道を選んだ私は、退職金もなく、年金では食べていけない。だから、どう考えても一生現役で働かなければならない。組織に属さなかったことを今さら後悔しても仕方が無い。自分の出来る事を精一杯やるしかないのだ。これからは、今まで以上に努力をしなければと、新年に身が引き締まる思いだ。

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徳永エリ

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