恵庭OL殺人事件 札幌高裁が被告の控訴を棄却

1審・札幌地裁の有罪判決を支持。

 

大越被告(左)と橋向さん

写真・大越美奈子被告(左)と被害者の橋向香さん

 

 札幌高裁(長島孝太郎裁判長)は、9月29日午後1時30分から恵庭OL殺人事件の控訴審判決公判を開いた。

 事件の被害者となった苫小牧市在住のOL・橋向香さん(当時24)は、平成12年3月17日午前8時20分頃、恵庭市北島の市道脇で焼死体となって発見された。

 同年5月23日、道警は橋向さんの同僚で日本通運札幌東支店キリンビール千歳工場構内課に勤務する大越美奈子容疑者(当時29)を逮捕した。

 検察側は裁判で大越被告と犯行を結び付ける直接証拠を示すことはできなかったが、15年3月26日、札幌地裁の遠藤和正裁判長は「被告人単独で被害者を殺害、死体を焼損したことは、合理的な疑いを挟む余地なく認定できる」として、懲役16年(求刑・懲役18年)の判決を言い渡した。

 捜査段階から一貫して無実を主張していた被告は、1審判決を不服とし、即日、札幌高裁に控訴。13回に及んだ控訴審は5月24日の公判で結審した。

 長島裁判長は1審・札幌地裁判決を支持し控訴を棄却、「状況証拠から被告が犯人と優に認めることができる」と指摘、大越被告は終始うなだれて聞き入った。

 以下、続報

 長島裁判長は控訴棄却に至った理由を午後3時まで読み上げた。その内容は「直接証拠がなければ有罪認定をできないという考えは、(被告人の)自白を偏重することになりかねない」と1審判決を全面的に支持するものだった。

 「被告人の供述は不自然。原判決は(控訴審)判決に影響を与えるような大きな誤認はない」として、弁護側の主張を退けた。

 控訴審第3回公判では弁護側が申請した上野正彦元東京都監察医務院院長が証人として出廷した。

 上野証人は「(橋向さんの遺体は)陰部が開脚状態で炭化が激しく、暴行の事実を隠すためかなと私は考えた。ご遺体が発見された時に開脚していたことからして、暴行殺人事件を視野に鑑定しなければならない。判決では10リットルの灯油で焼却していると言っているが、検査データからして結論が飛躍している」と男性による性犯罪を示唆した。

 しかし、長島裁判長は判決公判で「積雪時期の戸外での性犯罪は考えにくい」と指摘した。

 第10回公判では、検察官が被告に「社宅にあった(10リットルのポリタンクに入った)灯油が500ミリリットル足りなかった。(早来町の町民の森で発見された橋向さんの)所持品はポリタンクの灯油で焼いたのではないか」と迫った。

 この点についても、札幌高裁は、500ミリリットルの灯油で遺品を焼却したと認定した。

 さらに長島裁判長は「(被告の)土地勘のある場所から被害者の遺品が発見された。別に犯人がいるとすれば、もっと目立つところに遺品を捨て、大越被告が犯人であることを暗示する方法をとっただろう」と"真犯人"が存在する可能性を否定した。

 弁護側はブタに灯油10リットルをかけた燃焼実験を行ったビデオテープを証拠として申請、被害者の遺体のような焼損状態にはならないとしたが、高裁は条件が異なると退けた。

 また弁護側は被告が遺体発見現場から恵庭市のガソリンスタンド「ガソリンキング」に到着することは時間的に不可能としていたが、高裁は時間内に被告が到着することは十分に可能とした。

 判決文を読み終えた長島裁判長は、椅子に座っていた大越被告を再び証言台に呼び、判決が不服である場合は14日以内に上告することができる旨を説明した。

 その説明を聞き終え、椅子に戻ろうとした大越被告は、あまりにもショックが大きかった様子でバタンと法廷に倒れた。

 大越被告には未決勾留日数中、730日が刑に算入される。(文・東)  

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