最近、札幌市役所内部では、「上田市政が変質した」との冷めた評価も聞こえる。「市民が主役のまちづくり」を標榜する"上田イズム"が庁内に浸透していないことは、公取委によって明らかとなった官製談合以外でも露呈した。
約8年間にわたって母親が女性を監禁していたことを見逃した問題では、市教委、区役所など各部署の連携不足、いわゆる縦割り行政の弊害が指摘された。
この問題が表面化してから、初めて再発防止策を協議したことも、「市民のためになるかどうかが第一の判断基準」と強調する上田文雄札幌市長の姿勢とは乖離した。
上田市長が1期目から公約に掲げていた「子どもの権利条例」はようやく昨年11月に成立したが、その直前に監禁問題の不手際が発覚しただけに、後味の悪い印象は否めなかった。
二転三転した路線バスの存続問題でも市内部の連携不足が批判された。この問題では切羽詰まった局面に陥るまで、市民まちづくり局を所管する加藤啓世副市長は、ほかの2人の副市長と協議する場面がなかったという。かねてから庁内で指摘されてきた副市長3人の意思疎通不足が図らずも顕在した格好だ。
昨年12月18日、2008年最後の定例記者会見。上田市長は1年を振り返る所感のなかで、こう述べた。
「市長就任から一貫して進めてきた『市民が主役のまちづくり』というものに、53万票を超える非常に大きな期待と支援をいただいた。市民対応、あるいは接遇などについては、市役所、区役所を訪れる市民の皆さんから、一定程度というより、かなりよい評価をいただいている。しかしながら一方で、結果的にこの1年間、市民の期待を損ねる事柄が続けて発生したということは誠に残念で、内心、忸怩たる思いもある」
上田市政は今春、2期目の折り返しを迎えるが、市民は公約である「市民が主役のまちづくり」を実感しているのであろうか。
就任以来、タウントークなどで積極的に市民と対話する上田市長。各種イベントへの出席も含め、庁外での多忙ぶりを、自民党などの反上田勢力はしばしば「事実上の選挙活動」と揶揄している。
"理念先行型"の上田市長は、足元である庁内をいま一度、固める必要があるのでないか。さもなければ、「市役所改革」や「市民が主役のまちづくり」は画餅に帰すだけである。(文・赤井)

