高橋はるみ知事の支庁制度改革はどうだろうか。昨年6月に可決した「総合振興局設置条例」いわゆる支庁再編条例は、道町村会の猛烈な反対に遭い、3月の道議会で、結局は町村会の意見を丸のみする形で修正された。14支庁を9つに再編する計画は白紙撤回され、14支庁体制はそのまま維持されることになった。
名称だけは9つの総合振興局と5つの振興局に変わるが、この程度の「改革」なら、わざわざ条例改正をしなくてもできた内容だ。看板を掛け替えるだけで数千万円の経費が発生するとも言われ、財政健全化の流れにも反するのも明白。条例制定の意義があるとすれば「知事のメンツを守ることだけ」というのが、庁内外のもっぱらの評価だ。
ほかの政策に目を向けても、道民の期待の大きい雇用対策は大きな効果を挙げられず、道内失業率は再上昇。知事の"看板公約"だった企業誘致でも、トヨタ自動車といすゞ自動車が共同で建設する予定の苫小牧市内のディーゼルエンジン工場が、無期限で凍結されるなど、頼みにした自動車産業が壊滅状態だ。
北海道洞爺湖サミットの2匹目のどじょうを狙った10年秋のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の誘致合戦でも、横浜市にあえなく敗北した。
唯一の手柄に見える新幹線の札幌延伸決定でも、実際は札幌ー長万部間の部分着工。整備方法も、在来線と同じ機動車を走らせるスーパー特急方式となることが濃厚で、誘致推進団体からはブーイングが出ている。営業開始時期も「函館ー札幌がつながるのは早くて25年後」(関係者)と言われるほど、気の長い話になってしまった。
「知事の改革の熱意は買うが、進め方が強引。これでは支持者がどんどん離れていく」。道内経済団体幹部は、最近の知事に苦言を呈す。とりわけ近藤龍夫道経連会長と高橋知事との関係がしっくりいっていないことは、関係者の間に次第に広まり始めている。歴代北電会長が務める知事の政治資金団体会長が、いまだに泉誠二北電相談役から近藤氏に交代しないのは、そのためだとされる。
地方をまとめる寺島光一郎町村会長とは、支庁再編をめぐる激しい闘争の末、2人の関係はもはや修復不可能な状態。仮に中央政界で政権交代が起これば、知事の支持基盤が決定的に弱体化することは避けられない。
もっとも、次期知事選を2年後に控え、保守陣営で高橋知事以外の有力候補が浮上する気配はない。自民、公明を合わせて70万票とされる基礎票に、100万票を上乗せした圧倒的な個人人気こそ、知事の最大の強みだからだ。
知事自身もこのことを意識しているようで、再選直後から、地方で一般有権者に触れる機会を倍増させている。「道政がここまで行き詰まれば、いつ投げ出してもおかしくない」という観測とは裏腹に、知事の動きは「三選への意欲満々」と見受けられる。
胃がんの摘出手術から5年が経過し、「再発の心配はほとんどない」(知事周辺)とされる。食欲も旺盛で、酒を飲む機会も増えてきた。前回知事選と同様、「大病を乗り越え、道議会などでいじめられながらも、けなげにがんばる女性知事」というイメージで三選を目指すのが、知事の基本戦略であることに変わりなさそうだ。(文・松本)


