ストレス社会の"負の遺産"である「心の病」が急増している。代表的な鬱病は「心の風邪」とも呼ばれるが、精神ばかりか肉体も衰弱させ、患者を自殺に至らしめることも稀ではない。
鬱病の患者はここ15年で3倍近くに膨れ上がっている。厚生労働省「患者調査」によると、1990年に10万人当たり23.1人だった患者は、2005年には66.6人に急増している。
官民問わず、「心の病」に悩まされている人は少なくない。診療はもちろん、いまでは職場での支援も不可欠だ。
およそ1万5,000人が働く札幌市も職員が患う「心の病」にさまざまな対策を講じている。
精神疾患を理由に休務、休職する札幌市職員は、1998年から07年度までの10年間増加を続けてきた。休務は傷病を理由に連続して30日以上職場を休むこと。その期間が90日を超えると休職扱いとなる。休職は最大3年間認められ、それを超えた場合は地方公務員法に基づく免職処分となる。
勤続5年未満の職員は1年までの休職で給与が80%、2年間までは50%、3年間までで30%に減額される。勤続5年以上の職員は、1年6カ月を超えると70%に減額される。
08年度中の休務、休職者は延べ402人。そのうち精神疾患による休務、休職者は全体の44.0%を占め、延べ177人。08年4月1日時点の市職員(教職員を除く)は1万4,672人のため、精神疾患による休務・休職者の割合は1.21%。
98年度から07年度までの休務・休職者数は横ばいだが、精神疾患を理由にしたケースは年々増えている。各年度の休務・休職者の延べ人数と全体に占める比率は次のとおり。
98年度 47人(9.4%)
99年度 56人(12.3%)
00年度 79人(16.3%)
01年度 89人(19.8%)
02年度 106人(22.3%)
03年度 110人(25.3%)
04年度 155人(38.1%)
05年度 172人(39.9%)
06年度 179人(45.4%)
07年度 184人(45.3%)
07年度の精神疾患による休務者の内訳は鬱(鬱病、躁鬱病、抑鬱状態、鬱状態、不安抑鬱状態)が最も多く、全体の80.9%を占めた。以下、適応障害4.5%、神経衰弱状態2.8%、その他2.4%、統合失調症1.7%、不安障害1.7%、神経症1.7%、心因反応1.7%、自律神経失調症1.7%、アルコール依存症1.1%の順だった。
同年度の年齢別精神疾患による休務・休職者は、40~44歳が29人(1.76%)、25~29歳が22人(1.64%)、30~34歳が24人(1.64%)。男性は40歳代、女性は20歳代後半から30歳代前半が多かった。
08年度は精神疾患を理由とした休務、休職者は177人にとどまり、11年ぶりに減少に転じた。それでも「精神疾患の原因自体が特定しにくく、減少した要因は不明」(市健康管理課)という。
精神疾患は早期発見と治療が不可欠。同僚や上司が早く気付くことも重要だ。市はメンタルヘルス対策として係長以上の職員に「鬱」を理解するための研修など啓発活動を行っている。さらに課長以上には、精神疾患を患う職員の対処法を学ばせている。
長期間、職場を離れる職員の復帰支援として、04年度からは「職場リハビリ」を始めた。回復後、職場に復帰してもすぐにはフルタイムで働かず、専門家の知識に基づき、段階的に勤務時間を延ばし、再発防止に努めている。
06年度からはセラピストとして精神科療法士と保健士を各1人医務室に配置、翌年度からは精神科医も加えた。職員がメンタルな理由で休む場合は、必ず面接などを行って"病状"を把握している。
市健康管理課は精神疾患について「日常のコミュニケーションを図ることで互いに相手の違和感や"サイン(変調)"を見逃さず、早期発見すること、個人個人でストレス解消法をもつことが大切」と話す。(文・久保 写真・久保)
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