前編で報じたように、昨年、道警が危険な違反運転をした自転車利用者に交付したイエローカード(指導警告票)は7万9,787件。前年の約5.8倍に跳ね上がった。道警は急増の要因を「道路交通法が改正されたことや、自転車のマナーが悪いという苦情があったため指導を強化した」と説明する。
自転車マナーに関する苦情が寄せられる先は道警ばかりではない。昨年度、札幌市市民の声を聞く課が受けた自転車に関する苦情は、前年度の25件から倍増し51件にのぼった。
「歩道を走る自転車がスピードを出していて危ない」「駐輪マナーが悪い」などの苦情のほか、「路上駐車が多く自転車がどこを走ったらいいのかわからない」「道路環境を整備してほしい」など自転車利用者からの要望もあったという。
昨年1月に国土交通省が自転車通行環境整備のモデル地区に指定した札幌市厚別区の新札幌地区では、国道12号や市道厚別中央線などで自転車専用道の整備が進められている。
国道12号では上の写真のように、約6メートル幅の歩道のうち車道寄りの植樹帯部分を除く約2メートルを自転車道として整備し、鉄柵などで歩道部分と分離している。市道厚別中央線では歩道の約半分をカラー舗装し、自転車通行帯をつくった。新札幌地区では今年度内に厚別中央通や厚別青葉通などでも歩道上に自転車専用道を整備する。
自転車専用道は、車道か歩道のどちらかを削って整備する。整備方式は、カラー舗装のみにするか、柵などの仕切りを設けるかなどさまざまなパターンがある。各モデル地区では、それぞれの道路管理者が現地の状況に合った方法で整備を進めている。
国道12号を管理する札幌開建道路維持課は「国道12号の場合は、幹線道路であることから車道を狭めることは難しいこと、歩道幅が十分確保できることから歩道上に整備した。柵を設けたのは、幅の広い歩道でもきっちり分離しなければ、歩行者にとって危険な状況は変わらないため。歩道は狭くなったが苦情はない。今後、アンケートや事故件数調査を行い効果を検証するが、歩道、自転車道、車道を分離したことで間違いなく効果があると踏んでいる」と説明する。
国のモデル事業とは別に、市は今年4月から「さっぽろセーフティサイクリング2009」を実施している。5月下旬~11月中旬にかけて延べ約140人の「自転車マナー指導員」が街頭で啓発活動を行うほか、啓発イベントを開催するなどして自転車利用者のマナー向上を目指す。
しかし、自転車利用者の増加によって市内の駐輪場は飽和状態となっており、駐輪に関する苦情には対応しきれない面もある。
市内のJR駅や地下鉄駅付近の駐輪場では、全体の施設容量が約4万8,000台であるのに対し、昨年度の乗り入れ台数は約6万台。前年度より約3,000台増加した。また、JR札幌駅周辺に16カ所設置されている有料駐輪場へは4月末時点で、前年比4.6%増の約1万3,000台の利用申し込みがあった。
市道路管理課は「全ての駐輪場で容量が不足している訳ではないが、市街地が形成されているところでは新たに駐輪場を設置するのは厳しい」と話す。
自転車に関する環境整備は欠かせないが、利用マナーの向上こそが早急に求められる改善策ではないか。(文、写真・糸田)


