アライグマは、外見や餌を洗う愛らしいしぐさに加え、テレビアニメ「あらいぐまラスカル」で人気を博したこともあり、ペットとして多くが輸入された。
こうした事情から1980年代以降、飼育に手を焼いた飼い主が放したり、野外に逃げ出すケースが相次いだ。野生化したアライグマは、ニワトリを襲ったり、農作物を食べ荒らすなど全国で深刻な被害を与えている。可愛い外見とは裏腹に、その気性は"荒いグマ"と呼べるほど獰猛。
アライグマは北米原産の外来種。道内では道央を中心に繁殖し、各地に生息エリアを拡大させた。
1992年度にアライグマの生息を確認、あるいは目撃情報が寄せられた市町村は13。ところが2008年度は大幅に拡大、131市町村にのぼった。
道は07年度の捕獲頭数とワナかけ日数をもとに、道央圏(30市町村)の最大生息数を1万2,775頭と推定した。前記30市町村での同年度の捕獲頭数は1,756頭。
道はアライグマ防除の長期目標を「完全排除」としているが、捕獲頭数が足りないうえに全道の生息数も判明していない。
アライグマの繁殖は年1回、春に平均3~4頭を産む。妊娠期間は54~70日間と短く、1歳前の死亡率も35~48%と低いため、繁殖力は非常に高い。天敵がおらず、生息地が年々拡大していることから、アライグマ回虫や狂犬病などによる人体への健康被害も懸念されている。
さらに幅広い食性からニホンザリガニやエゾサンショウウオなどを捕食。シマフクロウの巣に接近したり、生息域が重なるタヌキやキツネを駆逐するなど在来種の生態系に影響を及ぼしている。
被害額の約半分を占めるスイートコーンを筆頭に、イチゴ、スイカ、メロン、果樹、飼料など、アライグマによる農業等被害は多岐にわたる。92年度にゼロだった農業被害額は97年度に1,000万円を超え、以後はほぼ毎年3,000万円台で推移している。
以下、後編に続く(文・久保)
後編

