シラミ駆除のため、小学校で一列に並ばされた児童が順番にDDTを散布されたのは、戦後間もない1940年代後半。
こうした光景は、当時と比較にならないほど清潔が保たれているはずのいまではすっかり見られないが、アタマジラミの感染報告はなくなるどころか、増加傾向にある。
札幌市教育委員会によると、市内の幼稚園、小、中学校のアタマジラミの報告件数は2004年度に90件だった。05年度こそ67件に減ったものの、06年度は103件、07年度は134件、08年度は158件と増加が続いている。報告は1件が1人とは限らず、中には10人の場合もあるため、実際の感染は報告件数以上となる。
札幌市保健所によると、アタマジラミは通年で発生するが、夏休み前の今月と来月は比較的子どもたちの感染が広まりやすい時期のため、より注意を要するという。子どもはテレビゲームで遊んでいる最中などに、頭を接触させる機会が多く、ドライヤーや整髪料をあまり使わないこともあって、大人と比べ感染しやすい。
アタマジラミの感染者が増加傾向にあることを受け、市は07年度に保健所や関係機関、市教育委員会などで構成する「アタマジラミ連絡会」を発足させ、情報の共有と今後の対策を講じることとした。翌年度からは「アタマジラミの対策」パンフレットを配布、注意を喚起している。
さらに今年度からは、新たな「訪問指導」に取り組んでいる。保健所には毎年数十件の質問や相談が寄せられるため、従来の電話相談だけはでなく、要望に応じて担当職員が家庭や施設を訪問、アタマジラミの駆除方法や家庭での対策方法などを教える。
アタマジラミはヒトの頭髪に付いて皮膚から血を吸うため、頭皮はかゆみと皮膚炎で赤く腫れる。卵は気温が20度以下だと孵化しない。幼虫・成虫とも羽がないため飛ばず、ヒトの頭に寄生しなければ、約3日以内に死ぬ。
熱に弱いアタマジラミの駆除は、ドライヤーやスミスリン(薬剤)入りのシャンプーを2日おきに使うことが効果的。卵は髪の毛に強力に付着するため、すき櫛で髪をすいたり、短髪にすることが有効。
メスはヒトの頭髪に1日約8個の卵を産む。幼虫は3回の脱皮を経て、約1週間で成虫になり、1匹のアタマジラミはわずか1カ月間で約200匹にまで増殖するため、定期的な駆除が不可欠だ。
市保健所では、「相談対応は各区の保健センターでも行っております。訪問指導や電話相談など、とにかく気軽にご利用ください」と話す。(文、写真・久保)
写真・アタマジラミの幼虫・成虫の駆除剤「スミスリン」
写真・アタマジラミの駆除に効果的なすき櫛。価格は2,000円程度
札幌市保健所「アタマジラミ対策の訪問指導」
http://www.city.sapporo.jp/hokenjo/f3seikatu/shirami-shido.html


