1日約57万人が利用する札幌市営地下鉄は、市民にとって欠かせない大量輸送機関である反面、莫大な建設費やその支払利息が重荷となり、厳しい経営を強いられている。
こうした実情を端的に示すのが、総務省自治財政局の「2001年度 地方公営企業決算の概況」だ。
地下鉄事業は、大都市部において通勤・通学輸送を分担する基幹的公共交通機関として重要な役割を果たしているが、初期投資が膨大であり投下資本の回収に極めて長期間を要することから、国及び地方公共団体の一般会計から所要の助成措置が講じられている。
事業の現況をみると、新規路線の開業による輸送人員の増加があるものの、営業キロ当たりの輸送人員は概ね微減傾向にあり、当初に見込んでいた輸送人員を下回るケースが多い。加えて、計画時に想定された運賃改定を行うことができず、収支採算性の確保が困難な状況にあり、累積赤字の増大を招いている。
また、高齢社会に対応したバリアフリー化対策や乗り継ぎ利便性を向上させるシームレス化対策など、社会的必要性は高いが収益の向上には直接つながりづらい投資が増えていることもあり、地下鉄事業の経営状況は、依然として極めて厳しい現状にある。
総務省は04年度に公営地下鉄の不良債務(資金不足)解消を支援する目的で名古屋、札幌、横浜、京都の4市を「地下鉄事業経営健全化対策実施団体」に指定、地方財政措置を講じている。
札幌市営地下鉄3線の建設費は、総額約7000億円。建設費の財源は8割以上が借入金(建設債)などから生じる企業債だ。企業債の支払利息は、07年度までの累計が6904億円。乗車料収入の累計8975億円と比較すると、いかに多いか、お分かりいだだけるだろう。
地下鉄の単年度経常収支は、06、07年度に黒字転換を果たしたものの、累積欠損(赤字)は3399億円に及ぶ。
総務省は地方自治体の公債費負担を軽減する臨時特例措置として、09年度までの3年間、公的資金の補償金免除繰上償還を認めている。これは高い利率の公的資金を利率の低い民間金融機関の資金に借り換え、経営の負担を軽減するもの。
繰上償還の対象は条件により異なるが、1993年あるいは94年までに借り入れた利率5%以上の公的資金(旧資金運用部資金、旧簡易生命保険資金、公営企業金融公庫資金)。
札幌市営地下鉄の07年度の企業債残高は4302億円(ピークは98年度の5170億円)で、同年度の支払利息は144億円に及ぶ。繰上償還の対象となる最も古い公的資金は80年度に借り入れた年利8%。
市は07年度以降、519億円の公的資金を繰上償還しており、09年度末までに残る152億円の繰上償還を計画している。民間金融機関から借り換えた利子は1%前後のため、支払利息は総額109億円の大幅軽減となる見込み。
市交通局は13年度までに不良債務を全額解消する計画。交通局財務課は、繰上償還による支払利息の軽減を「資金不足の解消につながる」と話す。(文・東)

