全日本空輸(ANA)の子会社・エアーニッポンネットワーク(A-net)が丘珠空港発着の全路線を廃止し、新千歳空港への移転を検討している問題で、ANAに全路線の維持を求めている札幌市は、29日、東区民センターで市民説明会を開いた。
ANAは今年3月、不況の影響を受けてグループ全体で数百億円規模の収支改善が必要であることや、丘珠路線で運用しているプロペラ機「ボンバルディアQ300」が製造中止となり代替機が見つからないことなどを理由に、道と札幌市に丘珠空港から撤退する意向を伝えた。
同社は丘珠路線を新千歳空港に集約することで、冬季就航率や本州からの乗継の利便性が向上するほか、多客期にはジェット機も使用できるため、道外からの観光客やビジネス客の増加が見込めるとしている。
A-netが丘珠空港で運航しているのは、函館、中標津、釧路、女満別、稚内の5路線14便。丘珠空港は、このほか日本航空(JAL)の子会社・北海道エアシステム(HAC)が函館、釧路の2路線5便を運航している。
しかし、A―netの利用者が全体の約8割にのぼり、空港ビルの収益の核となるテナント料も約74%を占めていることから、同社が丘珠から撤退した場合、空港ビルの存続は難しい。
札幌市は「ビジネス利用の多い丘珠路線がなくなれば、道内の経済活動や地域間交流に多大な影響がある」(市民まちづくり局交通計画部)として、道や丘珠路線の就航先市町とともに、丘珠路線維持を求め、ANAと協議している。
29日の説明会には約200人が参加。市側はこれまでの空港周辺の整備状況や、ANAとの協議の経過を報告し、丘珠路線の必要性を訴えた。
市民からは「空港がなくなると困る」「残してほしい」との声が大半を占めたものの、「駐車場が有料になって使いにくくなった」、「札幌市とANAの協議がかみ合っていない」、「背景にはこれまでの市の(地方路線への)無関心があったのでは」、「市からの情報発信がない」などの批判も出た。
そのほか、「民間に頼らない新たな航空会社をつくって丘珠から飛ばせばいいのでは」、「ジェット化すればANAは丘珠に残るのでは」などの意見も出たが、市側は「今ある状況の中でANAとの協議を進めたい」と説明した。
市は来月中旬にも道や就航先市町とともに、ANAと協議を行う。次回の協議ではボンバルディアQ300の代替機問題について話し合う予定。(文・糸田、写真・糸田、東)
写真・エアーニッポンネットワークが丘珠空港で運用する「ボンバルディアQ300」


