全日本空輸(ANA)の子会社・エアーニッポンネットワーク(A-net)が丘珠空港発着の全路線を廃止し、新千歳空港への移転を検討している問題で、29日、道、札幌市、ANAなどによる「丘珠空港発着路線に係わる協議会」(第2回)が開かれた。
ANAは丘珠空港撤退の理由に、不況の影響を受けてグループ全体で数百億円規模の収支改善が必要なことや、丘珠路線で運用しているプロペラ機「ボンバルディアQ300」が製造中止となり代替機が見つからないこと、丘珠空港は冬季の悪天候で欠航が多いことなどを挙げている。
同社は丘珠路線を新千歳空港に集約することで、冬季就航率や本州からの乗継の利便性が向上するほか、多客期にはジェット機も使用できるため、道外からの観光客やビジネス客の増加が見込めるとしている。
これに対し、初回の協議会で札幌市は「ビジネス利用の多い丘珠路線がなくなれば、道内の経済活動や地域間交流に多大な影響がある」(市民まちづくり局交通計画部)と強く反発、道や丘珠路線の就航先市町とともに、丘珠路線維持を求めている。
29日の協議会では、Q300の代替機についての意見が交わされた。
ANAは「(ボンバルディア社以外の)プロペラ機は冬季の積雪や強風を考慮した場合、丘珠空港には適さない。(ボンバルデア社の)Q400はQ300よりも大型で10トン重いため、丘珠空港の滑走路(1500メートル)では離着陸できない。Q400を代替機とする場合は滑走路強化と延長が不可欠。丘珠空港で飛べるプロペラ機はQ300以外にないが製造中止となった」と説明した。
一方、市側は「コストがかかるのはわかっているが、他の機種に比べても経営を圧迫するほどではないのではないか。Q300とQ400には、(部品などの)互換性があるのではないか」などと質問したが、ANA側は「Q300とQ400は全く違う飛行機。製造中止となり、整備費用がうなぎ上りになっていく負の遺産は残せない」と反論した。
市民まちづくり局の吉岡亨理事は「(ANA側の言い分は)単に効率化、合理化を求めているように聞こえる。例えば滑走路を強化して夏季だけでもQ400が飛べないのかなど、路線を維持するための話し合いをしたい」と述べた。
ANAの岡田晃上席執行役員は「航空事業は夏の海の家ではなく、そんな発想はない。公共性という意味で(丘珠路線は)当然あった方がいいが、まだ使えるのなら民間が我慢しても使えと聞こえる。公共性というのは官民一体のはずだ。利用者に不便をかけるが、製造中止となった以上はいつかは決めなければならないことで、先々を考えると今しかない」と不満をあらわにし、議論は並行線を辿った。
路線維持を求める札幌市の主張は、ANAの感情を闇雲に逆なでする無策というほかない内容だった。
次回の協議会は来月中に開催する予定。引き続き、Q300の代替機について議論するほか、札幌市や道から、丘珠路線維持のための利用促進策などが示される。(文・写真、糸田)
写真・吉岡亨市民まちづくり局理事
写真・岡田晃全日本空輸上席執行役員
エアーニッポン「丘球空港撤退問題」 札幌市が市民説明会を開催
http://www.hokkaido-365.com/feature/2009/06/post-303.html


