北海道5区 民主・小林が半歩リード 自民・町村が猛追

保守層切り崩しを図る小林とドブ板に徹する町村の激戦。

 

町村、小林の両候補

写真・町村信孝(左)と小林千代美

 

   町村信孝 64 自前 元官房長官
△小林千代美 40 民元 元日糧パン社員
  畑野泰紀 42 諸新 幸福の科学新札幌支部長

 5区(札幌市厚別区・石狩管内)は、逆風の自民と追い風を受ける民主の党勢を象徴する注目の選挙区。最大の焦点は、9選を目指す自民・町村信孝の当落。

 小選挙区で3連敗中の民主・小林千代美が、官房長官や外相などの要職を歴任した町村とわずかにリードする展開。

 「小林千代美は比例で復活当選しても、次の選挙で候補者を差し替えられる可能性がある。相手を打ち負かすのが政権交代の象徴。『次期総裁候補』と名乗る人物にとどめを刺す」(民主党北海道第5区総支部副幹事長・木村美智留)

 小林は2度目の挑戦となった2003年の衆院選で、自民・町村信孝に9000票差で敗れたが、比例で復活、初当選を果たした。ところが、前回05年の選挙では、町村に5万票の差を付けられて大敗した。

 郵政解散で自民に風が吹いた前回選挙から4年、今回は周知のように世論が民主党を後押ししており、5区での情勢もこれまでとは一変している。

 木村が「この4年間は、5万票の差から活動をスタートさせてきた」と語るように、前回選挙の直後から江別市に事務所を構えた小林は、町村の牙城である保守層の取り込みにも取り組んできた。7月には町村の"地盤"である石狩管内新篠津村に後援会を発足させ、選挙区内全市町村での支援体制を整えた。 

 「民主党の支持基盤を何回も歩くだけではだめ。今回、小林は相手の支持基盤である建設業や農業団体、町内会にも顔を出している。反応も悪くなく、民主党への期待を感じる」(木村)

 選挙区内では大票田の厚別区や江別市で優位な戦いをする小林だが、自衛隊員が多い千歳、恵庭の両市や町村部では町村がリード。小林は朝夕に駐屯地前での演説も行ってきた。

 各世論調査では小林が先行しているものの、陣営では「リード」を実感しておらず、「激しく競り合っている」という認識だ。

 木村は「ボーダーラインは16万票、その7~8割を固めた感触。(有権者の)比例票は民主に流れるだろうが、相手の知名度は抜群。民主党に対する期待をいかに小林に結び付けるかがカギ。選挙区内に1万8000とみられる新党大地票の多くが小林を応援していただけると考えている。だが、主婦層の支持が少し弱い。まだ誰に投票するかを決めていない人に小林をPRし、マニフェストの配布などをやりきって互角以上の戦いに持ち込む」と語る。

 一方、町村選対幹部は現在の戦況を「厚別区、江別市、北広島市、石狩市で厳しい戦い。千歳市、恵庭市、石狩管内町村部では跳ね返している」と説明する。

 党総務局長だった町村は前々回の選挙でほとんど地元に戻れなかったが、支援者が「危機感を持っていただけなかった」(前出選対幹部)ため、薄氷を履む思いを味わった。外相だった前回も選挙期間中に地元入りしたのは半分程度だったが、「候補に二度とあんな思いをさせるなとの危機感が5万票の差」(同)となり、全市町村で小林に勝った。

 しかし、今回は有権者の自民党に対する政治不信がかつてないほど鬱積している。厳しい情勢に直面する町村は選挙区に張り付き、「景気第一」を訴えて支持拡大を図っている。実際の活動も、なりふり構わぬドブ板だ。

 「昨年9月24日に官房長官を降りてからは頻繁に地元に戻った。中選挙区時代にもなかったドブ板に徹した。冬も靴下を3足履いて本人自らがインターホンを押す無差別の全戸訪問。多い日で1日400世帯、2万5000歩を歩いた。民主党に大きな不安を覚えている人はいるが、民主党に対する批判は少しだけにとどめている。政治不信をもたらしたお詫びと、麻生降ろしのお詫びから始め、『私は新しい自民党づくりに取り組みたい』と訴えている」

 「民主党対自民党」を強調する小林と、8期の実績から候補者同士の戦いを訴える町村。解散後はリードしていた小林だが、公示後は町村が猛追、その差はわずか半歩といった程度。町村が終盤に巻き返しを図れば、逆転する可能性も残っている。互いに組織票を相当固めているだけに、雌雄を決するのは、投票先を決めていない無党派層の取り込みになる。

 幸福実現党の畑野泰紀は、伸び悩んでいる。

(文中敬称略 年齢は投票日時点 文、東・久保)

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