武部勤 68 自前 元党幹事長
○松木謙公 50 民前 元衆院議員秘書
笠松長麿 56 諸新 幸福の科学北海道正心館講師
12区(宗谷、網走管内)は、中選挙区時代を含め7期連続当選を果たしている武部勤(68)と、2003、05年の衆院選で武部に敗れ、いずれも比例で復活当選を果たした民主・松木謙公(50)の戦い。
武部は5区の町村信孝、11区の中川昭一と並ぶ自民の大物。元首相・小泉純一郎の「偉大なるイエスマン」を自任し、幹事長だった05年の郵政選挙を取り仕切って自民大勝利の立役者となった。ところが、今回は郵政民営化などの小泉改革が地方を疲弊させたとして、強烈な逆風に晒されている。各種世論調査やBNNの独自取材では、松木がリードする展開となっている。
首相や閣僚の辞任などが相次ぎ、自民の支持率が低迷する中、07年の道議選(宗谷管内)で、松木の秘書だった田島央一が自民の現職道議に勝利。昨年12月の北見市長選では、武部が推した神田孝次が、民主、新党大地の推薦を受けた小谷毎彦に敗れた。
これで危機感を強めた武部は、今回、「オホーツク武部党」を自称し、自民色を薄めて選挙区内の各市町村をくまなく回っている。26日に北見市内で行った演説会でも、「オホーツク、北見は私のふるさと。ふるさとが良くならなければ日本が良くなるわけがないという思いでこれまでやってきた。私がいなくなれば誰がこのふるさとを守って行くのか、死んでも死にきれない思いで頑張っている」と訴えた。
ところが、幹事長として構造改革を推し進めた"実績"や、選挙前に「麻生降ろし」で党内を混乱させたマイナスイメージは払拭されておらず、その巻き返しに奔走している。
対する松木は、道2区から国替えして挑んだ03年の衆院選で、武部に約3万6000票差を付けられた。続く05年は武部との差を2万2000票に縮めた。
松木選対幹部は「今回は三度目の正直。昨年から松木本人がすべての市町村を回り、後援会組織を拡大した。自民支持層に挨拶回りをしても、これまでのように嫌な顔をされない。松木に対する不特定多数の期待を感じている。相手がこれから巻き返したとしても、政権交代を訴え、無党派層や候補を擁立しなかった共産の支持層の票を取り込んで11万票以上を獲得すれば、当選できると見ている」と説明する。
また、民主党と選挙協力する新党大地は、頼もしい"援軍"。代表の鈴木宗男と武部は中選挙区時代のライバル。新党大地は先月、比例代表道ブロックに武部と因縁の深い元郵政相・八代英太を擁立した。
八代は郵政民営化に反対したため、前回の衆院選で自民の公認を得られず、無所属で出馬したが落選した。
八代は出馬会見で「幹事長だった武部さんは、比例で私を優遇すると確約していたが、公示直前に反故にされた。今日の格差社会、社会的弱者が切り捨てられていく流れは小泉構造改革がもたらした大きなツケ。こうした状況をつくり出したのは小泉、竹中、武部の三悪人だが、小泉さん、竹中さんはいなくなり、武部さんだけが残っている。次期衆院選で民主党をバックアップし、最後の三悪人を一掃するという思いで出馬を決意した」と気勢をあげた。公示前からこれまでに4度、12区内を回り、街頭演説で武部批判を繰り返している。
「新党大地との連携はどの選挙区よりも強い。12区には大地票が約4万票ある。(新党大地の)市議や秘書にも、ほぼ毎日一緒に選挙区内を回ってもらっている。現在は合同選対のような感じだ。松木は『私は民主党候補だが、比例は大地に投票する』と公言しており、民主支持層にも比例での大地支持を訴えている」(前出選対幹部)
12区は、新党大地との連携を密にする松木が、小選挙区初勝利を果たす公算が大きい。幸福実現党の笠松長麿(56)は消費税の撤廃などを訴えているが浸透していない。(文中敬称略 年齢は投票日時点 文、写真・糸田)

