「丘珠路線については、これまでいろいろ話してきたが、根本の問題は解決しない。次回は新千歳空港への移転後のダイヤ、運賃設定について説明し、それをもって区切りとしたい。仮に来年度から移転するのであれば、秋から策定する来年度の経営計画にも盛り込み、来年の1月末にはダイヤを決めなければならない」
全日本空輸(ANA)の岡田晃上席執行役員は、7日午後1時から札幌市中央区の「かでる2・7」で開かれた「丘珠空港発着路線に係わる協議会」(第3回)で、そう述べた。
ANAは今年3月、道と札幌市に対し、子会社「エアーニッポンネットワーク」(A-net)の丘珠空港発着5路線を廃止し、新千歳空港への移転する意向を伝えた。
同社は丘珠空港の撤退理由に、不況の影響を受けてグループ全体で数百億円規模の収支改善が必要なことや、丘珠路線で運用しているプロペラ機「ボンバルディアQ300」が製造中止となり代替機が見つからないこと、丘珠空港は冬季の悪天候で欠航が多いことなどを挙げている。また、丘珠路線を新千歳空港に集約することで、冬季就航率や本州からの乗継の利便性が向上するほか、多客期にはジェット機も使用できるため、道外からの観光客やビジネス客の増加が見込めるとしている。
これに強く反発した札幌市は6月、道や就航先市町などとともに同協議会を設置し、ANAに丘珠路線維持を訴えてきた。
市はこれまでの協議会で、「ビジネス利用の多い丘珠路線がなくなれば、道内の経済活動や地域間交流に多大な影響がある」、「(ANA側の言い分は)単に効率化、合理化を求めているように聞こえる」などと主張。
一方のANAは、「製造中止となり、整備費用がうなぎ上りになっていく負の遺産は残せない」、「製造中止となった以上はいつかは決めなければならないことで、先々を考えると今しかない」などと反論、両者の議論は平行線を辿った。
7日の会合では、ANAが改めて路線撤退の理由や収支状況について説明し、市からは路線維持のための利用促進策が示された。
市はANAや関係自治体、経済団体、エージェントの参画による「利用促進プロジェクト」の立ち上げを提案。プロジェクトでは、目標搭乗率の設定や効果検証期間を設け、積極的な観光要素の発掘と旅行商品の企画、空港へのアクセス向上などから利用者を増加させ、収支の改善を図る利用促進策を説明した。
これに対し、ANAは「丘珠路線は収支というよりも、機材、滑走路の問題が大きなファクターであり、その部分について解決の方策がない。解決には、新たな飛行機を入れて、その分の公的な負担をできるのか、滑走路を延長して代替機が飛べるようなるのかの2つしかない。収支改善策を試しても根幹の部分は変わらず、時間をかけても問題の先送りにしかならない」とバッサリ。
さらに岡田氏が冒頭のように、次回での協議打ち切りを示唆すると、市民まちづくり局の吉岡亨理事は「そんな乱暴な話はない。今後、色々な話をしていこうという協議会の中で、そうした一方的な発言は承服しかねる。発言の撤回を求めたい」と怒りを露にした。
岡田氏は「(市が)今ある条件で路線維持を主張する以上、解決しないのは明らか。発言を撤回するつもりはない」と語気を強めた。
その後、協議会は不穏な空気のまま閉会。両者は協議会終了後、記者団に「(市から)経済的な負担の提案もあってしかるべきだが、今までに一度もない」(岡田氏)、「撤退ありきのような発言は逆に時間稼ぎ」(吉岡理事)などと互いを批判。
札幌市とANAの協議は、回を重ねるごとに主張がかみ合わなくなるばかり。まさに"視界不良"の丘珠問題は次回で両者の決裂が避けられない見通しだ。(文、写真・糸田)
写真・岡田晃全日本空輸上席執行役員
写真・吉岡亨市民まちづくり局理事
エアーニッポン「丘珠空港撤退問題」 "無策"で臨んだ札幌市にANAが憮然
http://www.hokkaido-365.com/feature/2009/07/post-315.html

