2007年から日本バスケットボールリーグ(JBL)に参戦、コンサドーレ札幌、北海道日本ハムファイターズに続く道内3番目のプロ球団となった「レラカムイ北海道」。
バスケットボールファンはもとより、馴染みのなかった若い女性からも人気を集め、ホームゲームの平均観客数は、1年目、2年目ともにJBLナンバーワンを誇った。
レラカムイの運営会社「ファンタジア・エンタテインメント」の水澤佳寿子社長(47)は、全国で育児支援事業を展開する「コティ」(本社・大阪)の創業者。1988年に前身の「ワーキンググループ・コティ」を設立し、全国約70カ所で保育施設を運営する業界大手に発展させた。
05年に「コティ」を大手企業に売却。その後は約1年間、コンサドーレを運営する北海道フットボールクラブの役員を務めた。06年4月、北海道初のプロバスケットボールチームを誕生させるため、ファンタジア・エンタテインメントを立ち上げた。
水澤社長にチーム設立の経緯や今季の意気込みを聞いた。
--北海道でプロバスケットボールチームを立ち上げたきっかけは。
水澤 コティを全国展開をする中で、東京にいることが多くなり、週末に北海道に帰ってくる生活だった。帰ってきて地方の拠点を回ると、北海道の景気の悪さを肌で感じ、生まれ故郷なのにふがいなさを感じていた。もし、自分が何か新しいことをするならば、今度は北海道の中で北海道を元気にする事業をしたいと思っていた。
2004年に、コティの事業規模と自分の体力がフィットしていかず過労で2度ほど倒れたことがあった。そんな時に、ちょうど会社を売却できるという状況があった。売却した後の事はまったく決めていなかったが、北海道フットボールクラブ(HFC)に声を掛けられ、執行役員としてはじめてスポーツに関わることになった。HFCにかかわったことで、プロスポーツチームが地元にあれば、たとえ、優勝できなくても目に見えない経済効果が生まれることや、これほどまでに波及効果のある広告媒体はないことを学んだ。
また、スポーツは人に感動や勇気を与えるばかりでなく、人を育てていく上でも、とりわけ思春期の子どもたちに非常にいい影響を与える。ゲームの中では、成果を勝ち取ろうとするならば仲間と協力し合わなければならないことや、努力してもまま報われないこともあること、ジャッジや評価は自分ではなく他人にされるのだということ、そもそも世の中にはルールがあることなど、社会で必要なさまざまことを教えてくれる。スポーツはもっと広めていくべきものだと感じた。
そんな中でJBLの関係者から、北海道でバスケットチームをつくってほしいという声が掛かった。マーケティングをしてみて、北海道の中でバスケットは非常に優位性が高いという事がわかり、自分で立ち上げるに至った。
--1年目、2年目を振り返って、チーム運営で予想通りにいかなかったのはどういった点か。また、予想通り、それ以上だった点があれば伺いたい。
水澤 コンサドーレと比べた場合、選手数は少ないのでミニマムなコストでやれると思っていたが、意外にもバスケットボール選手の年棒はサッカー選手よりも総じて高く、その上、ゲーム数が少ないので収入を得る機会は少ない。スポンサーを集めることに関しては当初から苦労すると思っていたが、それ以上に想像していなかったコストが掛かってしまった。
逆に、予想以上だったのは集客数。当初は1試合1500人以上入れることを目標にしていたが、あっという間にクリアした。バスケットボールをやっていた人は黙っててもアンテナに引っかかると思っていたので、バスケットボールをやっていなかった人をどうやって振り向かせるかを考えプロモーションを行ってきた。結果、20代の女性に圧倒的な支持を受け、昨シーズンは毎試合3000人以上集客できている。今まではバスケットを取り巻く環境や商習慣などが分からず、ロスも多くずっと赤字経営だが、ここに来て、ようやく赤字から脱却したい、しなくちゃ、というあたりまで来ている。今シーズンは単年度黒字を目指す。
--レラカムイはホームゲームでJBL首位の観客動員を誇り、また野球やサッカーに比べても若年層が多い。ファンサービスにはどういったことを重視しているか。
水澤 他のスポーツに比べて、バスケットは観客席とコートが近いことが魅力。ファンサービスにおいても、試合終了後に選手がコートを一周してアリーナ席のファンの皆様とハイタッチを行なうなど、選手とファンとの距離が遠すぎるようにならないことを意識している。また、選手たちはコートの上で輝いているのはもちろん、コートから一歩離れたところでも魅力があるということが重要で、その部分のマネジメントも意識している。
--最大の懸案である大口スポンサー確保の目途は立っているか。また、人気がありながらスポンサーが付かない理由にどういったことが考えられるか。
水澤 大口スポンサーの案件はあるが決定はしていない。こうした経済状況の中で何千万もの資金を出してくれるメインスポンサーがそんなに簡単には見つからない。金額的な問題のほかにも、スポンサーはチームの財産であるファンの年齢層や性質とフィットしなければ難しいと考えている。お互いにメリットがなければ長続きはしないので、スポンサーがチームを使って何をしたいかも重要。メインスポンサーは決まっていないが、小口のスポンサーは増えている。普通の企業と同じで資金の多くをメインスポンサーに依存するのは危険な面もあり、多くの企業に支えてもらっている現状に悲観はしていない。
後編に続く。(ききて、写真・糸田)
■水澤佳寿子(みずさわかずこ) 1962年、札幌市生まれ。札幌静修短大卒業後、道内でラジオのパーソナリティーやテレビのリポーターとして活躍。北海道大学大学院経済学研究科修了、経営学修士(MBA)学位取得。


