「中の上」の選手たちで勝ち取ったファイターズリーグ優勝

北海道のランドマーク、札幌ドームに誕生した「スポーツ文化」。

 

梨田監督

写真・3月13日の激励会で「今年は優勝できる手応えがある」と宣言した梨田監督

 

 北海道日本ハムファイターズが2年ぶり5度目のリーグ優勝を決めた。

 優勝決定後、パ・リーグ各球団の監督談話も発表されたが、なるほどと思わせたのは楽天野村監督の「スーパースターはいないが、中の上の選手たちがまとまった」というものだ。

 パ・リーグを代表する投手となったダルビッシュは15勝を挙げたが、故障による戦線離脱もありスター選手ではあるものの、スーパーはまだつかない。稲葉にしても毎年タイトル争いをする域には達してはいない。

 シーズンを振り返ってみると、稲葉・金子・田中らの「中の上」選手が、確かにチームを牽引した。

 企業でも同じことだが、ベテランや中堅が働くところは安定しているが、将来を考えた時にはどうしても必要なことがある。正に梨田監督はそれを実行した。それがチーム内競争だった。

 二岡の加入で金子が活性化した。中田の入団で小谷野が奮起し、糸井の起用で糸井自身が自分の能力に目覚め、またほかの選手たちをチャンスは与えられると覚醒させた。一軍、二軍の連携が密で、常に上を目指す雰囲気がチーム全体にあった。

 北海道日本ハムファイターズの観客動員数は過去最高の200万人を超す勢いだ。これは北海道にファイターズが溶け込んだ証明だ。と同時に、札幌ドームをみると、そこにはファンが選手と同じ空気を吸い、同じ時間を過ごし、喜びや悲しみさえ共有するという新しい応援方法が見えるのだ。

 多くのファンが大きなキャスター付きのバッグを引き、ひいきの選手名の入ったユニフォームを着てドームにやってくる。バッグのなかには手作りの応援グッズや扮装グッズが入っている。そしてファイターズのファンに共通していることは、けっして野次らないということだ。酒を飲んで野次るファンは皆無といってもいい。失敗をあからさまに追及したり、嘲笑する姿などを見たことが無い。スポーツの応援としては正に奇跡的な光景なのだ。

 これは何を意味するのか?

 野球は失敗のスポーツだ。10回打って3回成功すれば一流の競技だ。だからファンはそれを知っている。成功には一緒に喜び、失敗には「この次頑張りなさい」と声をかける。応援、支援、そして家族で楽しむことや、独りで来ても心で応援し、時には稲葉ジャンプではじけることで自分の意思を伝えられることを知ったのだ。応援もスポーツだと知ったのだ。そして「スポーツ文化」が誕生したのだ。

 札幌ドームは、野球場であり、サッカー場であり、コンサート会場、ノルディックスキー世界選手権の会場であり、モータースポーツ会場、イベント会場でもある。まぎれもなく北海道のランドマークなのだ。

 梨田監督が色紙に書く「夢と大地」はまだまだ続く。クライマックスシリーズや日本シリーズへと道が繋がったのだ。

 夢の向こうに明るい北海道の大地が見える。

 おめでとう、ファイターズ。

 ありがとう、ファイターズ。 (文、スポーツライター・伊藤龍治)


伊藤 龍治の「スポーツ見聞録」
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