日本シリーズ展望 重量打線VSスモールベースボール

先発9人の存在感では劣るが、全員野球が繋がればファイターズに勝機。

 

札幌ドーム

写真・クライマックスシリーズは、札幌ドームを埋め
たレプリカユニフォームが後押しして、楽天に勝利

 

 北海道日本ハムファイターズ対読売ジャイアンツ、28年ぶりの日本シリーズ決戦である。

 28年前は両軍ともホーム球場が後楽園球場で、ジャイアンツが4勝2敗で日本一になったが、史上初の同一球場開催だった。28年前、1981年の日本シリーズで大活躍したのは、ジャイアンツの新人原辰徳選手だった。その原選手が現在は監督として「大巨人軍」を率いるのだ。

 ジャイアンツはセ・リーグ3連覇の強豪ながら日本一は02年以来ない。ファイターズの日本一は記憶も新しい06年。つまり、日本シリーズとは、何が起きるか分らない大舞台なのだ。

 ジャイアンツを大巨人軍と呼ぶのは理由がある。日本シリーズの勝敗は98勝79敗2分け、日本一達成が20回、敗退は11回。ファイターズは11勝11敗1分け、日本一は2回、敗退も2回。歴史と伝統が違うのだ。これは認めざるを得ない。

 今季の両チームを比較すると、チーム打率はジャイアンツ、275に対しファイターズ、278と差はないが、本塁打は182本対112本、犠打は114本対168本、盗塁は84対105だ。これはジャイアンツが重量打線であることを示し、ファイターズが軽量野球というかスモールベースボールで戦ってきたことを示している。

 投手成績は、チーム防御率がジャイアンツ2,94に対しファイターズは3,65.自責点は427対523だ。これはジャイアンツがゴンザレス・高橋・内海・東野と揃っているのに対し、ファイターズが武田勝に負担がかかることを示している。

 大エースダルビッシュは投げられそうにもないが、相手もまたグライシンガーは無理だから痛みわけだ。

 こうして戦前のデータから見れば、ジャイアンツには負ける要素はない。ここにもジャイアンツが「大巨人軍」たる意味がある。

 さらにホームゲームでの観客動員数を比べると、ジャイアンツは293万4370人・1試合平均4万0755人。ファイターズは199万2172人・1試合平均は2万7669人と圧倒的な差だ。勝っているのは、前年比の伸び率で2%に対してファイターズは6・3%だ。東京都1200万人の人口に対し、札幌市は190万人、全北海道としても560万人の人口なのだから圧倒的な差があっても当然だ。言わば、中央対地方、権威対新興である。

 しかし、勝敗に不思議なし、なのだ。

 28年前の戦いを知っている選手は誰もいない。前回の日本一を知っている選手はファイターズには大勢いるが、ジャイアンツには少ない。02年ジャイアンツ日本一の時のMVPは、現ファイターズの二岡智宏、06年ファイターズ日本一の時のMVPは稲葉篤紀、つまりファイターズにはMVP経験者が二人いるのだ。

 ファイターズ投手陣は確かに幹は細いが、枝はかなりしっかりしている。しかも、シーズン後半に来て力をつけた投手が多い。糸数、金森などはその代表だ。シーズン最終盤で展開した「一人一殺」継投や、捕手4人制での幻惑リードなどは、スモールベースボールでの勝利に繋がるものだ。

 野球は名選手といえども、10打数3安打のゲームだ。その3安打が繋がらないようにすれば勝てるゲームだ。楽天を破ったのは、ファイターズは繋がり、楽天は繋がらず分断されたからだ。

 交流戦が行われるようになり、パ・リーグ選手がセ・リーグ選手に臆することなどはなくなった。年俸が高い選手・ビッグネームに対しても挑戦心をもつ選手が増えたのだ。その証拠がある。今季の交流戦個人打撃成績にそれが現れている。1位、高橋信二、411 4位、糸井嘉男、372 だ。

 日本シリーズはプロ野球選手が年齢がいくつになっても、高校球児に立ち返って一球入魂、血相を変えて立ち向かう舞台なのだ。先発9名の存在感では負けても、ベンチ入り全員が繋がるのであれば負けはしない。ファイターズが勝つとすれば、その一点にある。

 札幌ドームは4万人を超える。東京ドームに負けはしない。

 札幌ドームで1勝1敗。東京ドームで1勝2敗と王手をかけられてファイターズは戻ってくるだろう。第6戦を取り返し、運命の第7戦は3点リードの最終回2死、ボールが武田久から今シリーズ初登板のダルビッシュに渡ればいい。それがファイターズと北海道民の悲願だ。レギュラーシーズン優勝はダルビッシュの力がなければ、成し遂げられなかったからだ。クライマックスシリーズ登板の藤井投手は、自分の手に「11」とダルビッシュに書いてもらって奮闘した。

 繋げよ、ファイターズ。(文、スポーツライター・伊藤龍治)


見どころ満載クライマックスシリーズ 日ハムVS楽天「頂上決戦」の勝者は
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「中の上」の選手たちで勝ち取ったファイターズリーグ優勝
http://www.hokkaido-365.com/feature/2009/10/post-460.html

伊藤 龍治の「スポーツ見聞録」
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