札幌市は老朽化した白石区役所の移転候補地として取得した用地(同区南郷通1丁目・8249平方メートル)の活用策について、今月から本格的な調査を始め、年度内に移転するか否かを含めた結論を出す方針。
現在の白石区役所(本郷通3丁目北)は、札幌市が政令指定都市となった72年に建設され、老朽化が進んでいる。地下鉄白石駅から約1キロ離れていることもあり、地域住民からは移転を求める声も上がっている。
区役所庁舎再整備基本方針が決定した02年、市は新たな区役所用地の確保が必要と判断、翌年3月、北海道新聞社から12億2911万円で購入した。この用地は現在まで駐輪場、駐車場として暫定利用されている。
用地取得後、市は商業施設を含めた公共施設の利用を導入も踏まえ、活用方法を模索してきたが、具体的な方策を決めるには至っていない。
07年度の包括外部監査では、「本件土地が民間所有であれば少なくとも年額940万円程度の固定資産税が徴収可能となることを考えると、本件土地の利用は経済合理性を欠くものと言うべきであり、早急に土地利用方法を具体化することが期待される。財政難の折り、区役所の移設等の土地利用方法を具体化することができない場合には、本件土地の希少価値は十分考慮に値するものの、問題の先送りをやめ、本件土地を売却すべきであろう」などと指摘されている。
だが、「区役所を移転する場合、候補は南郷1丁目のほかにないが、昨秋のリーマンショック以降、景気が悪く、民間機能を導入することが難しい」(市長政策室政策調整課)というのが実情だ。
市は民間事業者が参入せず、独自で区役所庁舎を建て替える場合は、用地の広さから白石区民センターや白石保健センターの移転を含めた複合施設を視野に入れている。
その場合は財源が課題。
複合施設の建設費は数十億円となる見込み。しかし、学校などを建設する場合とは異なり、国の補助はない。建設費の捻出は市債に頼らざるを得ず、財政負担は大きい。
今後、市は調査費として計上された300万円で、民間利用の可能性や用地の地域特性を踏まえ、区役所移転を含めた活用策を検討する。白石区民に対しては、区役所移転の意向調査を実施する予定。活用策と区民の意向を踏まえた調査結果から年度内に用地の活用問題に結論を出す方針。
白石区役所は、「札幌市耐震改修促進計画」で災害時における応急活動の拠点施設に位置付けられており、計画的な耐震化を講じる施設になっている。
政策調整課は「区役所を移転することになれば、竣工時期も決めて区民に周知する。移転しない場合は、庁舎を改修することで施設の延命化を図る。その場合、用地は将来、売却することもあり得る」と説明する。(文・東、写真・久保)
写真・立地条件に恵まれた南郷通1丁目の市有地

