巨人のデータ野球に屈した日ハム

敗因は日本シリーズ初の「ワースト新記録」。

 

11月8日付「スポーツニッポン」

写真・巨人の7年ぶり日本一を報じる11月8日付「スポーツニッポン」

 

 日本シリーズが終了した。

 海の向こうからは、メジャーリーグベースボールでのワールドシリーズで、ニューヨークヤンキースの優勝、さらには松井秀喜選手がMVPとなったというビッグニュースが飛び込んできたのだが、それさえも忘れ去られるような日ハムVS巨人の手に汗握る日本シリーズだった。

 しかし、最終戦はこれほどストレスの溜まるゲームもないだろうと言うほどのものだった。なんと、日本シリーズ史上初の、毎回安打での完封負けという「ワースト新記録」だった。

 つなぎの野球で、パ・リーグを制した日ハムだが、その自慢のつなぎができなければ戦えないのは明白だ。これは、巨人軍のデータ野球の勝利だ。

 球団にはスコアラーという役職の専門スタッフがいる。これはどの球団にもいるのだが、力の入れ方の違いでスタッフの数にはばらつきがある。

 最終戦の日ハム3番稲葉・4番高橋・5番スレッジが完全に抑えられ、あれほど多くの見逃し三振をしたというのは、完全に巨人軍のデータ分析だ。確かに、ベテランの稲葉・高橋・スレッジ選手たちの疲れから来る調子の低迷はあるにせよ、狙い球があれほど外れるのはデータを分析した結果から攻め方を変えられたからなのだ。

 私の次男は現在、バレーボールVプレミアリーグで昨シーズン優勝した東レアローズのアナリスト兼コーチだが、バレーボールに限らず今やほとんどのスポーツはデータ分析の専門家であるアナリストが作戦を指示するのだ。例えば、全日本女子バレーボールチームにはアナリストが2名いるが、世界の強豪国イタリアやブラジルには5~6名のアナリストがいて、あらゆる角度から相手チームを分析するのだ。

 こう考えれば、巨人の日本一はデータ分析での戦略・戦術的勝利だともいえるだろう。

 ただし、強化は敗戦のなかにある。

 ほんの数年前、円山球場は90%が巨人ファンで、年に1~2度の巨人軍の北海道遠征時には熱狂的な巨人ファンが試合の数日前からテントを張って泊り込むのが常だった。いま、札幌ドームには4万人を超えるファンが入り、その90%が日ハムファンだ。

 これは北海道人が移り気なのではなく、プロ野球が地方の時代に入ったことを現している。プロ野球は企業の一部門ではなく、宣伝の一部門でもなく、地域とともに活性化・一体化を具現する健康なエンタテイメントスポーツ文化を担うものに成長してきたのだ。

 その意味では、北海道日本ハムファイターズは何も負けを喫したのではない。進み行く道は正解なのだ。今後、必要なことは2軍強化の徹底だ。20代半ばの元気いっぱいの選手たちの出現が必要だ。目標は、あと5人の「小谷野栄一」だ。

 巨人で活躍したのは、育成選手制度からの3人組で揃って25歳だ。シーズンホールド王の山口鉄也投手・交流戦以後先発ローテ入りして6勝をあげたオビスポ投手・2番センターのレギュラーになった松本哲也選手で、彼らの年俸は240万円からの出発だった。日ハムには、「有名・著名2軍選手」が沢山いる。ここの活性化がなければ、来シーズンの活躍もない。チームや組織を強化するには、チーム内競争が必要不可欠だ。

 日ハムがやらなければならないことは、まだまだ沢山ある。ファンはそれを知っている。そして、ともに進もうと考えている。喜ばしいことだ。

 来季を考えることも、嬉しく楽しいことだと既に北海道民は気持ちを切り替えている。

 北海道日本ハムファイターズ、お疲れ様。

 さあ、来季に向かって!(文、スポーツライター・伊藤龍治)


日本シリーズ展望 重量打線VSスモールベースボール
http://www.hokkaido-365.com/feature/2009/10/post-479.html

見どころ満載クライマックスシリーズ 日ハムVS楽天「頂上決戦」の勝者は
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「中の上」の選手たちで勝ち取ったファイターズリーグ優勝
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伊藤 龍治の「スポーツ見聞録」
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