「北海道では雪の降る前にマンションを物件を購入し、正月を新しい家で迎える傾向がある。それでも、9、10月市場に大きな動きはなかった。かつてないほど冷え込んだ状況の中で、各社は新規発売を抑え、在庫消化のため大幅値引きを断行しているが、なかなか買い手がつかない。景気が悪いとはいえ、ユーザーにとっては買い時。だが、さらなる値引きを待っているのか、先行きが不安で買わないのか、いずれにせよマンション不況は今年に入り一段と厳しさを増している」
住宅流通研究所(札幌)の入谷省悟所長は札幌のマンション市況をそう語る。
平成18年から続くマンション不況は今年4年目。耐震偽装問題や高さ制限の導入、用地・建築資材の値上がり、リーマンショックを引き金にした急激な景気の悪化などを要因に市況は一段と冷え込んでいる。
同研究所の調べによると、10月の新規販売は10月市場としては平成で2番目に少ない136戸。前月からの繰り越し1263戸を加えた総出回り戸数は計1399戸。成約は平成最低だった前年同月を約30戸下回る165戸。このうち新規物件はわずか30戸に過ぎず、全体の成約率は11.8%に低迷した。厚別区内には、17年11月に発売し、今年10月にようやく完売した物件もある。
1月~10月までの新規発売は前年同期比30.5%減の1494戸。清田、南、手稲の3区内では今年の新規販売がゼロだった。成約は同16.9%減の1880戸。今年はあと2カ月残し、年間新規発売、成約戸数ともに札幌のマンション市場が形成された昭和50年以降、最悪となることが確実視されている。
10月末現在の在庫は1234戸。内訳は新規物件(21年発売)が692戸、繰越物件は598戸(17年8戸、18年28戸、19年73戸、20年433戸)。新規発売が少ないにもかかわらず、在庫は3カ月連続で1200戸台で推移しており、完成在庫比率は72.0%まで上昇した。
ある関係者は「せっかくモデルルームを見に来ても年収が足りず、ローンを組めないケースも少なくない。マンションを買いたい人の希望価格と新規物件の発売価格には、数百万円の差があり、自ずと成約者の数は限られる」と明かす。
新規と繰越を合わせた全体成約率は、36カ月連続で20%割れとなった。(文・糸田)


