鳩山内閣の「政治主導」は本物か 前編

参院予算委で勘所を外して拍手した民主党新人議員。

 

鳩山由紀夫

写真・憲法9条の判断で「党に聞いていただければと思います」と答弁

 

 3党連立による鳩山内閣が発足して70日余り。

 鳩山由紀夫首相は、10月26日の所信表明演説で「私は、政治と行政に対する国民の信頼を回復するために、行政の無駄や因習を改め、まずは政治家が率先して汗をかくことが重要だと考えております。このために鳩山内閣は、これまでの官僚依存の仕組みを排し、政治主導・国民主導の新しい政治へと180度転換させようとしています」と述べた。

 ところが、これまでの国会質疑や党運営を見る限り、幹事長に権限が集中する"小沢民主党"と鳩山内閣の関係は「党高政低」と言うほかない。内閣や官邸が党の方針、すなわち小沢幹事長の意向を配慮するケースが多々あるためだ。

 まず、11月2日の衆院予算委員会。自民党の大島理森幹事長が鳩山首相に、憲法9条に関する民主党の見解を尋ねた。

 大島委員 私は三党連立のことを聞いているのではございません。そういたしますと、三党連立政権では今までの9条の解釈は継続するけれども、民主党としてはその解釈の変更をすることはあり得るということをおっしゃっているんですか。

 鳩山首相 党としては党の判断があると思いますから、党に聞いていただければと思いますが、内閣としての考え方を変えるつもりはありません。

 大島委員 総理、これをなぜ私はしつこく聞くかといいますと、皆さんがアフガニスタンの貢献でいろいろなことをこれから考える、まさにISAFに対する日本の貢献のときに必ずこの問題が起こる、だから聞いているんです。それを党は党でどう考えるかわかりませんというのは、今までマニフェスト、政治主導、政府・与党一体、こう言ってきたことと違うじゃありませんか。(衆院予算委員会会議録から抜粋)

 上記のように鳩山首相は、民主党の党首であるにもかかわらず、党の見解を述べることを回避した。

 続いて、11月6日の参院予算委員会。自民党の西田昌司参院議員が鳩山首相の資金管理団体の政治資金収支報告書虚偽問題を取り上げた。

 西田委員 要するに私は、鳩山総理がいわゆる今言われた罪になるとかいうことを断定しているわけではなくて、この法律の意味はそういうことが担保になっているんですよということを国民に知らせているんです。そのことを御理解いただいた上で、総理は自ら説明責任があるんじゃないですか。もう一度お伺いします。

 鳩山首相 私自身は、従いまして、でき得る限り自分の知り得る情報の下で説明を申し上げているところであります。そして、これ以上のことに関しては、地検にすべての情報を提示を申し上げておりますので、司法の判断をまちたいと、そのように考えております。なお、今お尋ねでございましたが、会計実務担当者は会計責任者ではありません。私は会計責任者の選任も決して間違ってはなかったと、そのようにも今でも思っておりますが、このようなことに関しては司法の判断に待ちたいと、そのように考えております。(民主党議員が拍手)

 西田委員 何をあなた方は拍手しているんですか、おかしいです。国民の皆さん方、是非、皆見てください。なぜ民主党の皆さん方、今は何の拍手ですか、一体何の拍手なんですか。一番国民が知りたがっているのが、総理が総理としての資格があるかないか、そのことを国民は聞きたがっているんですよ。そして、それがいわゆるああいう規定によって刑事罰を受けるとなると総理の確かに資格なくなりますから、これは検察、また裁判所ですよ、判断は。しかし、それ以前に、総理は国民から選ばれたんですから、国民に自らの政治姿勢を示して、自分が潔白なら潔白と会計担当者、実務者も含めて国会に招致して説明すればいいじゃないですか。なぜそういうことをしないんですか。(参院予算委員会会議録から抜粋)

 西田氏の発言「何をあなた方は拍手しているんですか、おかしいです。国民の皆さん方、是非、皆見てください。なぜ民主党の皆さん方、今は何の拍手ですか、一体何の拍手なんですか」は、一体何を意味するのか。

 その背景には、「党高政低」の"産物"ともいうべきものがある。鳩山首相や内閣の発言後、与党議員が拍手をすることは珍しくもない。

 しかし、西田氏が指摘したように、鳩山首相が「司法の判断にまちたいと、そのように考えております」と答えた場面は、どう考えても拍手をすべきところでない。

 小沢幹事長の戦略が奏功、先の総選挙で民主党の新人議員は143人に膨れ上がった。それでも、小沢幹事長の意向で新人議員は「政策」を学ぶよりも「次の選挙」で当選することに専念しなければならない。勢い国会での新人議員の任務は"拍手要員"となる。6日の衆院予算委は、新人議員が首相の答弁内容をよく聞かないままに勘所を外し、"役割通り"に拍手したというのが真相だろう。(文・東)

 以下、後編に続く。

 

 

後編

http://www.hokkaido-365.com/feature/2009/11/post-486.html 

衆議院予算委員会11月2日会議録
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

参議院予算委員会11月6日会議録
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/main.html

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