さあ、いよいよバンクーバー五輪まで3週間余り。
大会は、2月12日から28日までの17日間で行われる。
1月18日には日本選手団結団式が行われ、チームジャパンも臨戦態勢に入った。結団式はまれに見る、いい結団式だった。選手が自力で勝ち取った代表権だからこそなのだが、ユーモアとウィットにあふれる結団式だった。
団長は、橋本聖子。アルベールビル五輪スピードスケート1500メートル銅メダリスト。夏冬7回の五輪出場は世界タイ記録。(財)日本スケート連盟会長。
副団長は、笠谷幸生。札幌五輪金メダリスト。JOC理事。(財)全日本スキー連盟常務理事。団長、副団長がメダリストというのは初めてのことだ。橋本団長は45歳だからの話なのだが、旗手の岡崎朋美が38歳という年齢での代表にかけて「次は団長を目指します」と笑わせ、場を和らげた。
39歳の主将・岡部孝信は「宣誓は100回以上練習した。ジャンプどころではなかった。これでようやくジャンプに専念できる。岡崎さんは、大丈夫しか言わなかった」と、これも笑わせた。確かに直前の札幌W杯はジャンプどころではなく、予選落ちも経験したが、岡部は本番にはきっちり合わせてくる。
結団式の主役は15歳のスーパー中学生・高木美帆。浅田真央との対面では「やっぱり、かわいい」。浅田は高木を「大人びている」。どうも、若き女性の思うところはやはり謎めいている。
IOC委員、元日本サッカー協会会長の岡野俊一郎は、「なでしこジャパン」のユニフォームを高木にプレゼント。サッカーでも才能を発揮する高木に対してのユーモアとウィットにあふれる一場面となった。
来賓からの期待は「長野五輪を超えて」というものだったという。
前回のトリノ五輪は荒川静香の金メダル1個だから、いきなり10個以上というのも無理な話だが、可能性はどうか?結論から言うならば、近年まれに見る好成績も期待できると思う。
キーワードは、団体戦。
ノルディック複合団体は、昨年の世界選手権で金メダル。走れる選手が揃い、個人では5位~20位クラスながら4人が揃っているという強みがあり、メダル争いは確実。
ジャンプ団体は、07、09世界選手権で連続銅メダル。葛西、伊東、栃本、岡部のメンバーは銀か銅の期待。金はオーストリアで決まりの情勢。
スピードスケート女子団体追い抜き(チームパシュート)。今季のW杯で日本女子は2位。田端、穂積にスーパー中学生高木で挑む日本は、現状世界ランク3位以内の力があり、場合によっては道産子中学生が自らの手で高校進学祝いにメダルを持ち帰る可能性もある。
個人での戦いはどうか?
13日、ジャンプノーマルヒル。20日、ジャンプラージヒル。葛西、伊東は現在世界のベスト10以内。岡部・栃本は調整次第。
13日、女子モーグル。上村にとって地元のハイルは強敵。上村の現状はベスト6以内。
14日、スピードスケート女子3000メートル穂積もベスト6以内の力あり。
16日、スピードスケート女子500メートル。岡崎、吉井、小平はベスト10、ちなみに吉井、小平の1000メートルはベスト6以内。
17日、スピードスケート男子500メートル。長島、加藤、及川はベスト6以内。
18日、男子フィギュア。高橋、織田はベスト6以内。
25日、女子フィギュア。浅田はベスト3以内。安藤はベスト6以内。おもしろいのは鈴木の表現力。これは外国人審判にかなりのアピールになる可能性あり。
27日は距離女子30キロ、石田はベスト10以内の力がある。
観戦には冬の五輪の特殊性を知っておく必要がある。舞台は雪と氷で、スケート以外は屋外競技だ。だから、風力・風向・日照条件、雪や氷の結晶条件などの自然条件が成績に大きく左右することがある。ジャンプでは向かい風では飛距離が伸び、追い風では失速する。距離競技では追い風ではタイムを短縮でき、向かい風では短縮できない。曇り空での滑走より、太陽光の下の方がスキーは滑り好タイムがでる。だから、時に起こる番狂わせは自然条件のいたずらとも言える。
五輪は世界選手権やW杯とは違い4年に1度の開催だから、希少性ゆえに悲喜劇も起こる。五輪の合間に選手としての絶頂期を迎える者もいる。だから世界チャンピオンが必ず五輪を制するとは限らない。極めてまれだが、五輪期間中に爆発的に伸びる「黄金成長期」を迎える若手も現れるものだ。無名の新人の無欲の優勝などは、この例だ。
いずれにしても、楽しみな17日間が始まる。特に北海道民には、道産子選手が多いだけに力が入る。日本選手団の活躍に期待しよう。(敬称略 文、スポーツライター・伊藤龍治)
伊藤 龍治の「スポーツ見聞録」
http://www.hokkaido-365.com/365column/itou/


