陸自制作大雪像の舞台裏 新棟梁が語る「韓国・百済王宮」匠の技

作図に長けた15年目のベテランは「ブロック工法を用いた雪像は世界一」と自負。

 

村田謙二1等陸曹

写真・棟梁を務める村田謙二1等陸曹

 

 国内外から毎年200万人以上の観光客が訪れる「さっぽろ雪まつり」。1955年から雪まつりの雪像制作を手掛ける陸上自衛隊は、今年も大通会場で3基の大雪像を制作中。

 札幌市郊外などからトラックに雪を積んで大通公園に運ぶ雪輸送は、今月14日で終了。18日からは大雪像の粗削り作業がスタートした。

 陸自は3基の大雪像をつくる雪像制作隊を3隊編成した。第1雪像制作隊は、札幌市円山動物園と旭山動物園の人気動物を集めた「北の動物園」(大通西4丁目)、第2雪像制作隊はドイツ・ミュンヘンの「フラウエン教会」(大通西7丁目)、第3雪像制作隊は「韓国・百済王宮」(大通西8丁目)を手掛ける。

 隊員152人で編成する第3雪像制作隊の棟梁は、北部方面隊第11旅団の第18普通科連隊に所属する村田謙二1等陸曹。昨年までの7年間、棟梁を務めて昨年6月に定年退官した内藤義則陸曹長(当時)の後任。村田1曹は棟梁として初めての雪まつりに臨む。

 大雪像の制作は、棟梁と呼ばれる各制作隊の技術部長が統括する。現地視察や製図などから始まる制作工程は、棟梁がすべてを作成し、工程管理や作業指示、技術全般の指導などを行う。雪像制作に関する幅広い知識に加え、決断力や判断力が欠かせない要職だ。

 村田1曹は、雪像制作15年目のベテラン。昨年の雪まつり直後、内藤さんから直々に頼まれ、棟梁を引き継いだ。

 「私よりも雪像制作のベテランはいるが、内藤さんは私の作図能力を評価したのではないかと思う。内藤さんはかつて、『作図(設計図)ができれば、模型づくりも、現場での足場組みも判断できる』と話していた。作図ができる技術員の中では、私が一番経歴が長い。何をするにしても、最初からすべてを自分が手配しなくてはならない。各工程のすべての作業に一人で段取りをつけるのが、棟梁の役割だということを知らなかった」

 「韓国・百済王宮」の制作工程を完成させたのは昨年10月中旬。韓国での視察時には、ブロック工法で使う軒など建物の細部を350枚撮影した。

 毎年、城などの国宝や歴史的建造物を手掛けてきた第3雪像制作隊は、「ブロック工法」と呼ばれる独自の工法を用いて、瓦や棟飾りなど細部の部品を本体に後付けし、繊細な建築様式や装飾品などを表現する。技術は、先輩隊員から後輩へと口伝で受け継がれる。そのため、村田1曹が棟梁を引き受けた際、内藤さんから受け取った資料は、雪積み量を計算するための解説書だけだったそうだ。

 「ブロック工法は、他にない世界一の工法と思っている。伝統の技術を受け継ぎ、各技術員が妥協することなく、協力して完成させる。百済王宮の見所は、軒の張り出し部分。雪の重さで負荷がかかって途中で折れないように、中を直径12センチの丸太50本で補強し、限界まで軒を張り出して忠実に再現している。純白のきれいな雪像が出来上がるのを楽しみにしてほしい」

 新棟梁の「作品」は、来月3日に完成する。(文、写真・久保)

 

「韓国・百済王宮」

写真・荒削り作業が行われている「韓国・百済王宮」の制作現場

 

「韓国・百済王宮」の模型

写真・「韓国・百済王宮」の模型。中段は2階、下段は1階部分

 

 陸自制作大雪像の舞台裏 「北の動物園」棟梁が「今回は見所ありすぎです」
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陸自制作大雪像の舞台裏 酷寒の中で燃やす大雪像完成までの「執念」
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陸自制作大雪像の舞台裏 雪まつり史上最大「フラウエン教会」に挑む棟梁・毛利智晴さん
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