観光スポットとしても人気を博す「札幌市円山動物園」が、厳冬期を迎えても入園者で賑わっている。ホッキョクグマとユキヒョウの双子人気も相まって、昨年12月の入園者数は1万7000人と前年同月比の約2倍を記録した。
北極圏や寒冷地に生息する動物にとって、冬の札幌の気候は故郷に近い。暖かい時期に比べ、動きが活発になり、生き生きとした姿が入園者をひきつける。加えて繁殖期を迎えた動物たちの"アツアツぶり"をじっくり観察できるのも冬の動物園ならではの楽しみだ。
「かわいい」。08年12月に円山動物園で生まれたホッキョクグマの双子「イコロ」と「キロル」が無邪気にじゃれ合う姿に、歓声が飛んだ。氷点下の寒さにもかかわらず、カメラを手にした若い女性や家族連れがシャッターチャンスを狙っている。双子は、繁殖のため、春にも海外に転出する可能性もある。かわいい姿もこの冬が見納めかもしれない。
レッサーパンダのペア「セイタ」と「ココ」、シンリンオオカミの「ジェイ」と「キナコ」、ユキヒョウの両親と双子、アムールトラの「タツオ」と「アイ」、93年に日本で始めて繁殖に成功した円山動物園のシンボル、オオワシなど冬になって、ますます元気な動物たちの姿に寒さも吹き飛んでしまう。
普段は単独で行動するレッサーパンダ、冬毛が美しいシンリンオオカミ、ユキヒョウなど繁殖期を迎えた動物たちが仲良く寄り添う姿もほほ笑ましい。
また、今冬は「あったかい動物園」をテーマに、さまざまな企画も用意している。ホッキョクグマの双子を暖かい室内からゆっくり見学できる「イコキロルーム」(3月22日まで)、エゾシカ・オオカミ舎1階の足湯「蝦夷鹿の湯」(2月14日まで)も子供たちに人気だ。
05年度に入園者数が開園以来最低の49万人にまで落ち込んだ円山動物園は、06年に改革が始まった。予算が限られた中で、いかに経営を立て直すか。職員がスポンサーを探すため、企業への営業に奔走するなど、老舗動物園再生への成果は着実に現れている。
札幌トヨペットは、絶滅危惧種であるホッキョクグマの繁殖に役立てたいと、ハイブリッドカー「プリウス」が1台売れるごとに1万円を積み立て、一昨年の秋にホッキョクグマの産室の防音工事と特殊サーモグラフィー付監視カメラを寄付。引き続きプリウス試乗者1人につき、500円の積み立てを行っている。
大和ハウス工業札幌支店は、「イコキロルーム」実現のために、スーパーハウス2棟を提供した。年間100本以上ある動物園のイベントのうち、企業や団体とのタイアップは約40本に上り、2月1日から始まる「スノーフェスティバル」(11日まで)もその一つだ。
経営管理課の北川憲司係長は「温暖化とホッキョクグマの関係を始め、環境教育は動物園が担う大切な仕事の一つ。企業の側にも、動物園を応援することが社会貢献活動になるのだと気づいてもらえた」と話す。
円山動物園の入園者数は06年度に61万人に回復。08年度は70万人、今年度は12月末現在で84万人に達しており、90万人を突破しそうな勢いだ。(文、写真・武智)


