不況の深淵 第2回 広告収入はピークの約6割 市関連の「お知らせ」で穴埋めする札幌市交通局

今年度は前年度比24.3%減の見通し。

 

ホーム階段

写真・市営地下鉄東西線大通駅のホームに降りる階段
上部に設置された壁面電照。毎日、多くの人が通行す
る場所にもかかわらず、昨年春から空き状態となっている

 

 電通が今年2月に発表した「2009年 日本の広告費」によると、昨年の総広告費は前年比11.5%減の5兆9222億円だった。米国金融危機に端を発した世界同時不況による景気低迷の影響で、新聞やテレビなどの「マスコミ4媒体広告費」(同14.3%減)をはじめ、屋外や交通、フリーマガジンなどの「プロモーションメディア広告費」(同11.8%減)も大きく落ち込んだ。

 札幌市営地下鉄駅構内や車内などに多くの広告を掲出する市交通局の広告料収入も激減している。

 市交通局の広告料収入は、地下鉄の新規路線開業や延長に伴って増加し、1997年度に過去最高の25億6600万円となった。不況やバス事業民営化などの影響で、01~05年度までは5年連続減少したものの、その後は毎年度21~22億円台で推移していた。

 ところが、08年秋のリーマン・ショック以降、広告の出稿は落ち込み、今年度はさらに悪化した。広告料収入は前年比24.3%減の16億4692万円となる見込みだ。

 市交通局経営企画課の岩崎貴司資産活用担当係長は、「札幌では交通広告の競合相手が少ないため、バブル崩壊後の長引く不況の中でも、交通局の広告料収入は大きく減少しなかった。しかし、昨年に入ってから広告枠に空きが目立ちはじめ、今年度は不況の影響をまともに受けて大きく落ち込んだ。特に百貨店や不動産関連の広告が低調だった。ここまで落ち込むとは考えておらず、予算ベースでは約20億円の収入を見込んでいた」と説明する。

 市交通局が扱う広告は、「地下鉄車内広告」、「地下鉄駅施設広告」、「市電車内・ペイント電車広告」、地下鉄車内を1社で独占するなどの「地下鉄各種特殊広告」の4種。そのほか、駅構内の空きスペースを広告代理店に貸し出すなどして使用料を得ている。

 このうち、「車内広告」が全広告料収入の約4割、「駅施設広告」が約2割を占める。「車内広告」は毎年9~10億円の収入があったが、今年度は主力商品である中吊ポスターと額面ポスターの掲出率が大きく落ち込み、収入は昨年度と比べて約3割減の6億6800万円程度にとどまる見通しだ。

 地下鉄全線が乗り入れる大通駅の構内には、壁面電照や自立型ショーウィンドなど、多くの「駅施設広告」スペースが設置されている。ところが、改札口から少し離れるとこれらのスペースには空きが目立ち、それを穴埋めするための市関連施設の広告や市交通局のお知らせなどが掲出されている。

 市交通局の広告は、市関連のものであっても基本的に一般と同じ料金。ところが、駅構内の壁面電照は空スペースに無料掲出できるという。

 「壁面電照は昔からある古いタイプの広告で、あまり人気がないのが現状だ。空いているスペースが多いとコンコースが暗くなるので印象が悪い。出稿していただいている広告の価値を下げないためにも、市の掲出物や交通局のお知らせなどを掲出している」(岩崎係長)というのが理由だ。また、「車内広告」でポスターを掲出する場合も、官公庁の広告であれば「公共割引」として料金を2割減免している。

 市交通局は広告の掲出率を上げるため、従来の1日単位の契約に加え、4月から月単位で契約すると広告料が4割引きとなる「長期割」(地下鉄車内上部とドア横の額面ポスターが対象)や、2種類以上の特殊広告を同じ期間に掲出する場合、2種類目(料金の低い媒体)以降を半額にする「セット割」などの新たな割引制度を実施する。

 岩崎係長は来年度以降の見通しを「全国的に企業の広告宣伝費が削減されていく中で、すぐに良くなるということは考えにくい。しばらくは厳しい状況が続くのではないか。新年度からの割引制度に加え、今後は映像や音声を使った新たな広告媒体の導入も検討していく予定だ。このままの状況が長く続けば、基本的な料金設定も見直さなければならなくなる。広告主が利用しやすいものを提供するために、景気の動向を見ながら打てる手を打っていきたい」と語る。(文、写真・糸田)

 

ショーウィンド

写真・スポンサーが付かず、札幌市交通局のお知らせが
掲出された大通駅構内コンコースの自立型ショーウィンド

 

 

不況の深淵 第1回
http://www.hokkaido-365.com/feature/2010/03/post-512.html

不況の深淵 第3回
http://www.hokkaido-365.com/feature/2010/03/post-517.html

不況の深淵 第4回
http://www.hokkaido-365.com/feature/2010/04/post-521.html

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