上田文雄札幌市長が語る「市役所改革」 前編

縦割り行政の無駄を排した機構改革。

上田文雄氏写真:上田文雄氏

 

  政令指定都市初となる再選挙を制して、札幌市に44年ぶりの民間市長が誕生したのは、2003年6月のこと。同月11日、青のリュックサックにグレーのスーツで市営地下鉄に乗車、大通公園を通って市長室に入ったのが弁護士の上田文雄氏だった。

 地方自治体の財政は一様に厳しく、もともと基盤が脆弱な札幌市は、行財政改革をはじめとする火急の課題が山積している。

 上田市長は1期目に「札幌市自治基本条例」を成立させるなど独自の手腕をふるったが、2期2年目となった昨年度は官製談合などの不祥事や相次ぐ不手際の対応に追われた観が拭えない。

 任期の折り返しを目前に控え、残る2年間に3選出馬の足固めをするであろう上田市長に今後の市政を聞いた。

 ーー上田市長は、4月の職員人事に合わせ、「市長政策室」を新設するなど大規模な機構改革を実施しました。機構改革をするに至った理由、期待させる効果をお聞かせください。

 上田 私も市役所の中に入って、組織が伝統的に一生懸命頑張ってきたことをよく理解しています。

 市役所には良いところもたくさんありますが、伝統的な縦割り行政の弊害もあります。ある課題に対して力を発揮する場合、縦割りは非常に効率的ですが、一方で無駄なところもあります。お互いの仕事の連携は図りにくいし、情報は十分に伝わりにくい。力を結集して組織力を発揮するには、不都合なところがあります。そのようなことがあり、機構改革をどのようにしたらいいのか、を従前から考えていたところです。

 昨年の不祥事(官製談合など)と言っていいんでしょうか、あのようなことが起こり、その対応をめぐって市役所のトップマネジメントが十分に発揮できていないのではないかという問題意識が生じました。市長、副市長以下にきちんと情報を伝達し、また問題がきちんと上がってきたうえで迅速に判断するため、「市長政策室」を設置しました。

 ーー上田市長はBNNの2年半前のインタビューで、職員について「自分たちの仕事がいかに適正かつ迅速に市民の役に立っているかをきちんと説明できる、理解してもらうことができる、そういうもうひとつの仕事をしなければ仕事が完成したとは言えないんだ」と言われました。現在、こうした状況は改善されましたか。

 上田 市役所の目標としている政策は、「市民みんなが主役のまちづくり」です。市役所改革の最大のポイントは、市民がしっかり参加しながらまちづくりを進めることです。それをサポートするのが、我々市役所の重要な仕事であると位置付けました。

 自治基本条例や市民まちづくり活動促進条例を制定し、その制定過程で市役所職員の意識がしっかりと変わってくる効果を得ながら、条例制定の手続きを完成させてきたところです。

 2年前にも話をしましたが、市役所職員の意識は相当変化してきたと思います。それは市役所や区役所においでになるお客さま方に対する窓口対応ひとつをとっても、「非常に良くなった。親切、丁寧に説明していただいている」というお話を聞いています。実際においでになった方に職員の態度や説明などについてアンケートを取りますと、区によってばらつきはありますが、概ね70%以上の方からは良いとの、95%以上の方からは普通以上との評価をいただいています。

 市民に対するサービスについて、市役所の職員が相当心を砕いてきているという効果がはっきり現れていると思います。これは単に市民に対するサービスだけではありません。企画の段階からさまざまな政策立案の過程までを含め、職員がしっかりと提案し、それが政策に結び付く循環をつくっていくための努力はこれからもしていかなければならないと考えています。

 --民間企業と同様、市職員にも「心の病」で休職されている方が相当数います。どのような改善策に取り組まれていますか。

 上田 本市では、専任の産業保健スタッフとして、06年度から精神科療法士(セラピスト)と保健師を各1名、07年度からは、専任精神科産業医を1名配置し、「心の病」で休業している職員とその所属(職場)に対して、適切な療養を行えるよう専門的なアドバイスや、円滑な職場復帰及び復帰後のフォローなどのサポートを行っています。これらスタッフの日々の活動により、それまで増加傾向にあった精神疾患による休業者の人数が頭打ちとなり、昨年度は若干の減少となったことから、一定程度の効果が表れてきているものと考えています。

 また、「心の病」を未然に防ぐための取り組みとして、従来から、職員(一般職、新任係長職及び課長職)に対する研修やイントラネット、広報誌などでの情報提供を行っているほか、2カ所のメンタルヘルス相談窓口を設け、職員や所属(職場)からの相談も受けております。さらに、今年度は新採用職員を対象とした個別面談を行い、メンタルヘルス知識の啓発やメンタル不調者の早期発見に力を入れたいと考えています。

 今後とも、職員の「心の病」の対策として、未然予防、早期発見、早期治療及び再発防止に向け、より一層効果的な取り組みとなるよう検討していきたいと考えています。

 以下、次回に続く。(ききて・東)

 

中編
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後編
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