全国でタクシー事業を展開する「エムケイ」(本社・京都、青木信明社長)が今月22日、札幌交通圏(札幌、江別、石狩、北広島)で営業をスタートした。
エムケイは昨年10月、札幌市白石区に「札幌エムケイ」(平山功社長)を設立。北海道運輸局に車両40台、ドライバー80人での新規参入を申請し、今年3月に許可された。エムケイの札幌進出は全国で8カ所目。
札幌進出の目的を同社経営企画部は「当社は昨年から3~5年かけて、福岡、滋賀、札幌、広島、横浜への新規参入を目指している。札幌は全国有数の観光都市であり、しっかり顧客をつかめれば、当社が京都での地位を確立したように、観光タクシーとして成功できるのではないかと考えている」と説明する。
初乗り運賃は市内のタクシー会社より100円程度安い550円。運転手は制服・制帽を着用し、客の乗降時に車から降りてドアを開閉するサービスを行う。ススキノ地区には専用乗り場を設け、開業から1年以内に450台・1,000人態勢を目指している。
規制緩和による増車と景気の後退で売り上げが低迷する札幌のタクシー業界。黒船来襲とも目される「札幌エムケイ」。平山社長に聞いた。
写真:平山功札幌エムケイ社長
ーー札幌で顧客をつかむ自信はあるか。
平山 もちろんある。この経済状況の中で簡単なことではないが、少なくともエムケイはドライバーのソフトが違う。ほかの地域と同様、誠心誠意のサービスを行えば、エムケイが札幌のお客様に選んでいただける存在になると思っている。
ーー他社と比べ、サービスはどのように違うのか。
平山 ドアサービスがよく取り上げられるが、あれはお客様が嫌な思いをせずに快適と思えるような空間を提供するということの一部分に過ぎない。お客様に対してしっかりと挨拶をする、ハキハキとした返事ができる、料金をいただいた時に「ありがとうございました」が言えるような、当たり前のことが当たり前のように必ずすべてのドライバーができるというが大事。これが商品となる。同じ会社でも乗る車によって扱いが全く違うというのは商品にならない。エムケイが他社と違う点は、どの車に乗っても比較的均一性のあるサービスは受けられるところ。手前味噌の話になるが、エムケイが進出した地域のドライバーのレベルは必ず上がる。おそらく札幌のタクシードライバーのレベルも上がるだろう。それだけでも、エムケイが来たことで札幌市民にとって多少のメリットはあると考えている。
ーー低運賃とういのも大きな武器になるのでは。
平山 正直なところ料金には心配がある。確かに他社よりは安いが、札幌の料金はもともとが現実離れしている値段だ。北海道の一般家庭の所得を考えると初乗り550円でも受け入れてもらえるかどうか不安がある。家計という所得はひとつ。その中でどうやったらタクシーに予算を計上してもらえるかということを考えると、競争相手は他社ではない。まして地下鉄などのほかの交通でもない。すべての商品の中から選ばれる商品となるという観点から、心地よさや利便性を追及しなければならない。
ーーススキノ地区に専用乗り場を設けた理由は。
平山 歓楽街は狭い地域に車が密集しており、お客様が乗る車を選べる。エムケイのタクシーは駅や路上で客待ちをしないので、お客様への宣伝も兼ねてススキノに専用乗り場を作った。乗り場には常時3台を配車する。今後、札幌駅付近にも乗り場を設置したい。
ーーエムケイはドライバーに駅や路上での客待ちを禁止しているのか。
平山 特に制限はないが、無線配車が主となるので、駅や路上で客待ちするよりも、電話で呼んでくれるお客様に早く配車できた方が効率がいいという認識をドライバー全員が共有している。
ーーススキノ地区では路上で客待ちをするタクシーが溢れている。
平山 いまやどこの都市の歓楽街もそういった状態だ。そういったタクシーの列を見るとどのタクシーも余っているという印象を持つかもしれないが、お客様はしっかり乗る車を選んでいる。路上で客待ちをしているタクシーが多いのは、選ばれないタクシーが比較的多く列をなしている状態だと思う。エムケイは基本的に無線配車に力を入れているので、長い時間かけて客待ちをするのではなく、お客様にしっかり選ばれるタクシーを目指している。
ーー札幌は雪が多い。雪道対策は。
平山 今のところ対策はまだないというのが本音だ。しかし、これまで地元の京都でも、これまで進出した地域でも多かれ少なかれさまざまな問題があった。その度に「どうしてもできない」ではなく、「どうしたらできるか」に知恵を絞り克服してきたので、今回も何かいい方法があるはずだ。雪で車道が狭くなることやアイスバーンになることは承知しているので、ドライバーの安全と一般の自動車の邪魔にならない運転を確立した上でお客様サービスをどういう形でやるか、雪が降るまでの半年間で模索したい。
後編に続く。(ききて・糸田 写真・糸田)
写真:開業に向け研修するドライバー(4月16日撮影)
■平山功(ひらやまいさお) 1951年、京都府生まれ。73年に近畿大学卒業。81年、エムケイ株式会社入社し、04年に同社取締役。08年7月、常務取締役となり、同年10月から札幌エムケイ代表取締役社長を兼任。

