前編に続く、上田文雄札幌市長のインタビュー。今月施行した「子どもの権利条例」や経済対策を聞いた。
ーー4月1日に「子どもの権利条例」が施行しました。市民にとっては、どのようなものになるのでしょうか。
上田 この条例は、子どもにとって大切な権利や、これを保障するための大人の役割など、子どもの権利の保障に関する理念やしくみを、具体的かつ総合的に定めたものです。
条例の施行により、子どものまちづくりへの参加など、子どもが自ら考え判断し、自立した社会性のある大人へと育つための環境づくりがより一層進められるほか、救済機関を開設することにより、権利侵害に悩み、苦しんでいる子どもに対して、相談を受け、解決に向けて適切な支援を行う体制も整いました。
条例は、「子どもの権利を大切にする」という理念が札幌市全体に行き渡り、大人が、子どもにとって最も良いことは何かということを考え、子どもに対する向き合い方を見つめ直すきっかけとなります。子どもの笑顔がより一層かがやきを増し、そして、将来のまちづくりの担い手として健やかに成長・発達できるよう、市民が一体となって支援していく社会を実現するうえでの指針となるものと考えています。
ーー札幌市が当時の市議67人に支給した「費用弁償」は違法だとして、南区在住の主婦・大坪富美子さんが約3,600万円の返還を求めた住民訴訟で、札幌高裁は2月20日、上田市長に全額を返還させることを求める判決を言い渡しました。市は高裁判決を不服として上告しましたが、市民にしてみれば、上告の理由は分かりにくいもののはずです。あらためて理由をお聞かせください。
上田 議員に対する費用弁償問題は、全国の自治体に関わる問題であり、この度の札幌高裁判決は、「費用弁償はその額の多寡に関わらず、議会の裁量判断に委ねられている」との最高裁判所判例(1990年)と異なるものと思われますので、最高裁が従来の立場を変更するかどうかの判断を得たいと考えたからであります。
ーー国の政策と比べると、経済対策や雇用の面で札幌市ができることは限られています。その中で大きな実績を挙げた政策はどのようなものですか。
上田 私が市長に就任した2003年当時、銀行は不良債権処理の時代でした。銀行が「貸し渋り」「貸しはがし」というおぞましい呼び方をされ、中小企業に対する金融機関としての機能は十分に果たされていない状況でした。
そういう状況を踏まえ、市長選挙の際に「札幌元気基金」を創設することを申し上げてました。無保証、無担保で、借りやすいお金を市中につくっていくことを政策で提案したのです。
札幌元気基金の目標は、3年間で500億円を市中に回すことです。結果は583億円ほどを1万件を超える中小企業者に利用していただきました。非常に評判がよく、本市経済に大きな役割を果たした政策です。
未曾有の経済危機状況に陥っている現在、「景気対策緊急支援資金」を創設し、200億円の融資枠を新たに設けました。使い勝手のよい制度資金なので、市内の中小企業に広く活用していただけるものと考えています。
雇用を守るためには新しい雇用政策をつくり、産業を興すことも大切です。しかし、私が考えている最も大事なことは、いま活動している企業が潰れないことです。これは失業者を出さないことでもあり、第一にやらなければならないことです。札幌市が資金の枠組みを設け、市内中小企業が低利で安定した資金調達を行えるよう資金繰りを支援していくことは大切な政策です。
それとともに新しい産業、例えばコールセンターなど新たな雇用が生まれる事業者を誘致することにも札幌市は相当頑張ってきました。この間、コールセンター事業で1万2,000人ほどの常用雇用が確保されており、ほかの大都市からみても特異な発展と考えております。
さらにITやコンテンツ、バイオ産業も新しい産業として成長し、北海道、札幌のこれまでの努力がいま実りつつあります。北海道のバイオ産業については、この10年間に売り上げが4倍程度になり、昨年の売り上げは400億円ほどになりました。
研究棟がたくさん建つ北海道大学のリサーチアンドビジネスパークが発信基地となり、ITとバイオを組み合わせた産業が、北海道そして札幌の経済を支える大きな産業群として発展を遂げていくのではないかと思っています。
以下、次回に続く。(ききて・東)
前編
http://www.hokkaido-365.com/news/2009/04/post-2.html

