札幌市児童相談所のまとめによると、昨年度、市内の「児童虐待」件数は前年度から約3割増の621件にのぼり、過去最多となった。
増加は市児童相談所に寄せられる市民や警察からの通報が増えたことが要因。昨年度の通報件数582件(前年度比125件増)のうち、「近隣・知人」からの通報は207件(同44件増)、「警察」からは138件(同55件増)だった。市児童相談所はこのうち160件を虐待と認定した。
市児童相談所の穴田幸治相談判定課長は「全国で虐待事件が相次いでいることから、児童虐待には通報の義務があることなどが市民に浸透してきている。潜在化していた虐待が表に出てきている」と説明する。
警察からの通報は、DV(ドメスティックバイオレンス)被害のあった家庭で、子どもの目の前でDVが行われていた場合に「心理的虐待」で通報するケースがほとんどだという。
虐待の中で最もい多いのは、食事を与えない、病院に連れて行かないなどの「ネグレクト」389件(同82件増)。以下「身体的虐待」116件(同18件増)、「心理的虐待」111件(同45件増)、「性的虐待」5件(同2件増)と続く。
虐待者は実母が全体の約6割を占めた。「核家族化が進み、子育てに頼る当てがなく子育てに悩む母親が増えており、近年は発達障害の子どもときちんとした親子関係を築けず育児を放棄してしまうケースもある」(市児童相談所)という。
児童相談所では、虐待を受けた子どもに命の危険があったり、虐待した親と暮らす事が適切ではないと判断した場合は一時保護(最大2カ月間)の措置を講じる。
昨年度、市児童相談所に一時保護された子どもは161人。1人当たりで保護期間はおおむね1カ月だった。市児童相談所にある定員30人の一時保護所には、1日平均27~28人が一時保護され、ほぼ満員状態だった。このうち106人が児童福祉施設に入所し、19人が里親に預けられた。
穴田氏は「虐待か否かの認定は非常に難しい。トラブルを避ける意味でも虐待の情報源を明かせないため、家に行っても(保護者などに)会ってもらえない、居留守を使われるなど調査自体に時間がかかるケースも多い。小さな子どもはたとえ虐待されていても親が好きなので、正直に話さず親を守ろうとする子もいる」と明かす。(文・糸田)


