新劇団「座・れら」が12日からアンネの生涯「空の記憶」を上演

札幌市こどもの劇場「やまびこ座」で14日まで。

 

鈴木喜三夫さん

写真・「アンネはライフワーク」と語る鈴木喜三夫さん

 

 札幌在住の演出家・鈴木喜三夫さん(77)が、新劇団「座・れら」を旗揚げした。

 「座・れら」は、「アンネの日記」で知られるアンネ・フランクの生涯を題材にした新作「空の記憶」を6月12日から14日まで東区の札幌市こどもの劇場「やまびこ座」で上演する。

 鈴木さんは戦後50年の1995年に「アンネ・フランク三部作」を上演。アンネの生誕80年を迎える今年、「日記後」のアンネを通して、戦争とは、平和とは何かを再び問いかける。

 「空の記憶」は、三部作を観て感動した網走管内美幌町出身の児童文学者・浜祥子さん(東京在住)が旗揚げ公演のために書き下ろした戯曲。

 90歳になった父・オットーが、娘の命を奪ったドイツのベルゲン・ベルゼン強制収容所を訪ね、「大人になったアンネ」に再会するという筋書きだ。アンネの口から切々と語られる収容所での屈辱的な生活と無念の最後。父との語らいの中から、ナチによりわずか15歳で命を絶たれなければならなかった、少女の生涯が浮かび上がる。

 劇団さっぽろ時代から「アンネの日記」を上演してきた鈴木さんは、自らの戦争体験を踏まえ、「ナチの同盟国であった日本。アンネを死に追いやった責任は日本人である自分にもある」と語る。アンネの悲劇を再び繰り返してはならないと、「アンネの生涯」をライフワークに取り組んできた。

 「新作では『アンネの日記』に描かれるアンネと同時に強制収容所で殺されたアンネを知って欲しい。若い世代ではアンネを知らない人が増えているので、芝居をきっかけに戦争と平和を考えるきっかけになれば」と力を込める。

 旗揚げ公演を行う「座・れら」は、かつての三部作のキャスト、スタッフが札幌から集まり、この春に結成したばかり。三部作当時、大学生で主役のアンネを演じた小沼なつきさんが、大人のアンネに挑戦し、澤口謙さんが再びオットーを演じる。

 14年ぶりにアンネを演じる小沼さんは、「アンネのせりふの中で、『日本は嫌』という言葉が出てきて衝撃を受けた。アンネはもっともっと生きたかった。芝居を観た人それぞれが、アンネから何かを感じてもらえれば」と話す。澤口さんは「オットーには、娘に再会できてうれしいという反面、アンネを救うことが出来なかった贖罪の気持ちもある。そんな一人の父親の気持ちを演じてみたい」と語っている。

 公演の開演時間は12日が午後7時開演、13日は午後2時と午後7時、14日は午後2時。チケットは大人前売り3,000円(当日3,500円)、小中高生1,000円(同1,500円)。市内プレイガイド、やまびこ座で発売している。詳細は同劇団(電話011-641-8133)まで。(文、写真・武智)

 

小沼なつきさん

写真・14年ぶりにアンネを演じる小沼なつきさん。本番を前に、熱のこもった稽古が続く

 

せりふの練習風景

写真・本番を前にしたせりふの練習風景。左はオットーを演じる澤口謙さん

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