東京商工リサーチは8日、5月の全国企業倒産状況(負債1,000万円以上)を発表した。
倒産件数は前年同月比6.7%減の1,203件となり、1年ぶりに前年同月を下回った。都道府県別では15府県で前年同月から増加、25道府県で減少、先月に引き続き「減少」が「増加」を上回るなど全国的に倒産の減少傾向が広がった。同社は「緊急保障制度」などの金融支援が効果を発揮したためとみている。
負債総額は同1.8%減の5,398億8,400万円で、2カ月連続で前年同月比を下回った。負債10億円以上の大型倒産が今年最少の63件(同20.3%減)にとどまったことが要因。
産業別の倒産件数は、全10産業のうち建設業や卸売業、小売業など7産業が前年同月を下回り、製造業、不動産業、サービス業他が増加した。建設業(同21.3%減)は3カ月連続の減少。製造業(同13.4%増)は大手自動車メーカーの減産の影響で9カ月連続の増加となった。
倒産に伴う従業員被害は、同0.2%増の1万0,933人、16カ月連続で1万人を超えた。最多は全体の約3割を占める製造業(3,299人、同39.3%増)、以下、サービス業他(2,468人、同9.2%増)、建設業(2,209人、同23.5%増)の順。
北海道の倒産件数は同25%減の45件。負債総額は道南地区の大手建設資材卸売「ナルミ」」(檜山管内乙部町、負債約80億円、破産)や農機具製造販売「サークル鉄工」(札幌市、同37億8,100万円、民事再生)など大型倒産があり、同106億7,800万円増の232億5,800万円となった。
同社は、今後の見通しを次のように観測している。
「建設業は工事が減少する"夏の枯れ期"を迎える。急激な生産調整が続いた製造業、個人消費が回復しないまま大手量販店を中心に価格引き下げが進む小売業、そのシワ寄せを受ける卸売業。いずれも業界内で淘汰の流れが加速している。今後、企業の資金需要が活発になる時期と、大半の金融機関は取引先の格付け見直しを終了する時期が重なる。金融機関の中小企業向け貸出残高は依然低迷し、緊急保障制度やセーフティネット貸付も審査基準の緩和がなければ資金需要への対応は難しい。企業倒産はしばらく落ち着くとみられるが、金融機関の貸出姿勢に変化がなければ、夏場をターニングポイントに再び増勢局面をたどる可能性もある」
(文・糸田)


