札幌市における昨年度の学校給食費の未納総額は、前年度比455万増の7273万円に上った。未納率は同0.01ポイント増の1.18%、3年連続で前年度を上回った。
未納率は1989年度(平成元年)に0.67%だったが、不況の影響などから年々上昇し、96年度に1.0%を超えた。00年度には最も高い1.41%まで跳ね上がり、03年度まで1.40%前後で推移(図参照)した。
市は04年度から、未納の約2割を占めていた生活保護世帯の給食費を学校長に直接振り込むように改めたため、生活保護世帯では未納が発生していない。このため、未納率は04年度1.10%、05年度1.08%と低下したが、06年度から再び上昇傾向に転じた。
約2割を占めた生活保護世帯の未納は解消されたため、未納率1.18%の"実態"はピーク時と同じ水準だ。
給食費の未納は、経済的な理由ばかりでない。払えるにもかかわらず、意図的に払わないケースが目立ち、全国的な問題となっている。
札幌市教育委員会が全小中学校に聞き取りを行った結果、昨年度の未納理由は、58%が払えるのに払わない規範意識が欠如したケース(07年度61%)で、残り42%が経済的な理由(07年度39%)だった。
市教委給食係は「払えるのに払わないケースは相変わらず多いが、近年は経済的な理由が少しづつ増えており、不況の影響で未納率が上昇していると見ている。札幌市は給食費を学校単位で徴収しているため、未納の状況や対策は学校ごとにばらつきがある。未納がゼロの学校は全体の約1割、未納率が3~4%に上る学校もある」と説明する。
保護者が負担する給食費は、すべて食材費に充てられる。未納が増加すると、食材の変更や減量などの対応を余儀なくされ、子どもが直接影響を被る。
市教委は07年3月、「札幌市給食費未納対策委員会」を設置。同委員会は、各学校ごとに行われている督促業務や家庭訪問の方法などの未納対策をまとめた「手引き」を昨年3月、全小中学校に配布した。
再三の督促にも応じない悪質な滞納者に対しては、強制執行などの法的措置を講じる自治体もある。それでも札幌市の場合は、「学校単位での徴収なので、市教委に法的措置をとる権限はない。学校数が少ない自治体とは違い、約300校で完全給食を実施しているので、一括で徴収するのも現実的には困難」(市教委給食係)な状況だ。
ある教諭は「学校には、夏休みや冬休みを終えて新学期になると、体重を減らしている児童がいる。母子家庭で母親が長時間働いているなどの理由で、休み期間中に朝、昼、夜の3回食事ができない子どもだ。給食費の未納で食材が変更されれば、こうした子どもの栄養バランスや体調は一層崩れかねない」と危惧している。(文・糸田)


