新法制定など世論の風の吹く中、アイヌ民族にも「新風」

アイヌ関係者らがNPO法人の設立総会。

 

木幡寛氏

写真・新理事長に選出された木幡寛氏

 

 アイヌ民族の先住権が認められ、生活と地位の向上や雇用の場を拡大していくための新しい法律制定も視野に入ってきた中で、8月29日「NPO法人アイヌモシリ・チノミの会」の成立総会がアイヌ、和人ら関係者13人が出席し、札幌市内で開かれた。

 提案された同法人の定款によると設立目的は「アイヌ民族の地位、生活の向上を図り、アイヌ文化の振興と社会に寄与する」というもので、関係者らによると全国、世界への視点を持った活動目標が特徴だと言う。

 つまり、従来のアイヌ協会の活動の限界を超えて、広く和人などほかの民族との交流を通して、アイヌの置かれている立場への理解を深めてもらうとともに、信頼と連帯・協力関係を築き、当面は絶滅の危機に瀕しているアイヌ文化を維持・存続・伝承していくための多岐にわたる調査と保存活動を進めていく方針だ。

 総会でははじめに、準備を進めてきた木幡寛氏が経過を報告、続いて会員、会費、活動内容などの規約、定款を審議、了承し、理事長に木幡寛氏、副理事長にアイヌ研究者の藤村久和氏ら役員を選出した。

 総会で初代の理事長に選出された木幡氏は「アイヌの葬儀の儀式を伝える人材も少なくなっているし、アイヌ語を話すことのできる若者も少ない。伝承されているアイヌユーカラなどを正しく発音できる人材も少なくなってきた。こうした現状を座視できないとの思いから行動を起こすことにした。幸いアイヌ研究者やアイヌで既に手広く事業を進めている人たちからも賛同を得て、NPO法人の設立にこぎつけることができた」と話した。

 今後、同会は聞き取りや調査により、アイヌ文化の映像保存、文書資料の作製保存などを進めていくが、若いアイヌ世代の研修・育成を並行して進めることにしている。

 参加者らからは、異常に資源量が増大しているエゾシカの食品加工と流通を拡大する事業に取り組めないかなど、アイヌの雇用の場を増やし、生活レベルを向上させることにつながる具体的な提案もなされ、今後検討することとなった。

 北海道知事に今後、設立認可申請を提出、年内にも承認を受けることにしている。(文・長縄)

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