2女児虐待死事件 弁護人が最終弁論で「裁判所には何も期待していない」

被告は最終陳述で「謝罪の言葉を示しても償うことはできない」と証言。

 

星菜ちゃんが亡くなったマンション

写真・暴行を受けて今野星菜ちゃんが亡くなった札幌市中央区のマンション

 

 同居していた交際相手の子ども2人を虐待して死亡させたとして、殺人や死体遺棄などの罪に問われている稲見淳被告。2女児虐待死事件は発生からすでに3年を経過した。

 前回、札幌地裁(嶋原文雄裁判長)で開かれた8月18日の論告求刑公判は、実に3度目のこと。嶋原裁判長の訴訟指揮に端を発し、判決言い渡しが2度延期される異例の事態となったこの公判は、17日の最終弁論を終え、ようやく結審した。

 稲見被告は17日の最終陳述で次のように胸中を吐露した。

 「事件から3年が経ち、(今野)星菜(せいな)は生きていれば8歳、陽菜(ひな)は6歳になる。罪のない子どもの命を奪った責任は僕にあります。(刑が確定した後の)刑期はあくまでも法的な処置。誤解を恐れずに言えば、罪を償うことはできないと思う。謝罪の言葉を示しても償うことはできない。自分の行動や暴行で最悪の結果を招いてしまった。死ぬまで覚えていなければならない。できれば1審(札幌地裁公判)ですべてをはっきりさせてほしかった」

 借金の返済に窮した2女児の母は、風俗店で働いていた2006年7月、客だった稲見被告と知り合って翌月から同居を始めた。

 同年9月7日、稲見被告は札幌市白石区のマンションで、交際相手の次女・陽菜ちゃん(当時3歳)が腹筋をできなかったことに激昂、逆さ吊りにして振り回し窒息死させた疑い(傷害致死罪)。

 続く同月20日には、当時4歳だった長女の星菜ちゃんを風呂場で暴行、星菜ちゃんを病院に搬送せずに約21時間放置、翌日、硬膜下血腫で死なせた疑い(殺人罪)。

 さらに稲見被告は、女児2人の遺体をボストンバッグなどに詰めた死体遺棄と、2女児の母親に常態的に暴力を振るっていた暴行の罪にも問われている。

 07年9月3日の論告求刑公判で検察官は被告に懲役25年を求刑。弁護人は最終弁論で「(星菜ちゃんの容態は)極めて重篤で、すぐに救急車で運んでも救命できなかった可能性もある」と指摘、被告は殺人罪でなく、保護責任者遺棄罪にとどまることを主張した。

 これで公判は結審したが、嶋原裁判長は検察官に星菜ちゃんの救命の可能性(殺人罪適用の成否)について医学的見地からの追加立証を求め、判決の言い渡しを延期した。

 こうした経緯から公判は約1年間開かれなかった。

 嶋原裁判長は再開した公判でも、検察官に殺人罪の予備的訴因となる傷害致死罪を追加する命令し、判決を延期させて審理を再開させた。

 弁護人は2度にわたる判決延期を「強引な訴訟指揮」だとして最高裁に特別抗告したが、いずれも棄却された。

 母親も星菜ちゃんに暴行を加えていたと主張してきた弁護人は、今年6月11日の公判で母親の供述調書や公判証言などの証拠調べ請求を行ったが、嶋原裁判長は「これまでの被告人質問や証人尋問で終わったものとして棄却する」と退けた。

 一方、検察官は8月11日の3度目の論告求刑公判で、殺人罪でなく、傷害致死罪が適用された場合であっても従来通りとして、懲役25年を求刑した。

 弁護人は最終弁論で「嶋原裁判長以下、刑事第1部合議係には失望している。違法な訴因変更命令を出し、強行に審理を進めた裁判所には何も期待していない。母親は自己の刑事責任を免れるために、虚偽の供述をする強い動機がある。検察官は母親の著しい供述の編纂に対して、合理的な説明をしていない。裁判所は訴因変更後、新たな証拠調べが行われていない以上、すぐにも判決は出せるはずだ」などと批判した。

 判決は11月30日午後1時30分から言い渡される。(文・東)

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