地方労働市場情報官に聞く、「道内雇用失業情勢」 前編

「1件の求人に多くの求職者が殺到するケースが目立つ」

 

労働市場情報官_田村氏

写真・田村正幸地方労働市場情報官

 

 日銀は14日、景気認識を9月の「持ち直しに転じつつある」から「持ち直しつつある」に引き上げた。

 ところが、完全失業率や有効求人倍率は依然として厳しい状況が続いている。また、企業倒産も減少傾向で推移しているものの、緊急保証制度や公共事業の前倒し発注に支えられた観は否めず、実態経済はいまなお厳しいままだ。

 道内の景気動向は、求職者の増加に反し年々求人数が減少していることでも明らかだ。

 北海道労働局の田村正幸地方労働市場情報官(前ハローワーク千歳所長)に厳しい雇用情勢とハローワークの取り組みを聞いた。

 --道内の現在の雇用失業情勢は。

 田村 8月の基調判断は、「道内の雇用情勢は、一段と厳しい状況にある」だ。

 昨秋のリーマンショック以降、月間有効求人倍率は下降し、今年1月には0.3倍台(0.39)に落ち込んだ。0.32となった4月以降、8月まで同一の基調判断をしている。

 雇用保険の資格喪失者のうち、事業主都合(倒産やリストラ)を理由としたものが1月に大幅に増加(前年同月比53.8%増の4723人)し、その後も同様の状態が継続している。

 --リーマンショックと有効求人倍率の低下には、タイムラグが生じているのか。

 田村 一概にそうとは言えない。東京で何かあっても、その影響が北海道で生じるには相当程度の期間がある。今回は、そうではない業界もあった。リーマンショック以前の道内の雇用情勢は、原油高の影響で良くなかった。さらにリーマンショックが重なり、年度末には輸出産業である苫小牧や千歳の製造業で雇い止めや派遣切りなどが生じた。その結果、4月の月間有効求職者は約14万人(同14.3%増の13万9962人)に上った。

 --8月の有効求人倍率は、前年同月比0.11ポイントダウンの0.34だった。これまでにこのような状況はあったのか。

 田村 8月の月間有効求職者数は62年の統計開始以来、8月としては最多の12万3365人になった。月間有効求職者数は、新規求職者と就職が決まらずに前月と前々月から繰り越された求職者が含まれており、厳しい雇用情勢から高止まりとなっている。

 第二次オイルショックの影響で、1982年10月から87年2月までの有効求人倍率は0.2台が続いた。とは言っても、当時のハローワーク利用者は、現在の約半分の6万人程度。この時は就職情報誌がなく、縁故などで就職が決まることも多く、現在とは異なる点も多い。

 --最近、ハローワークを訪れる求職者の傾向は。

 田村 求職者は常用(雇用期間の定めがない、または4カ月以上の雇用期間が定められているケース)でフルタイムの正社員を希望するケースが増えている。派遣など非正規雇用では、いつ契約が打ち切られるかわからず、定年まで同じ企業で勤めたいと希望する求職者が増えた。

 しかし、常用求人が少ないことから、1人の常用求人に対して50人が応募すれば、49人は不採用になるということなどから、求職活動が長期化の傾向にある。それでも1件の求人に多くの求職者が殺到するケースは目立つ。

 --月間有効求人倍率は低い水準で推移している。かつて正社員だった求職者の中には、厳しい雇用情勢から、契約社員やパートで採用されたケースも多いのではないか。

 田村 求職者が正社員であったか否かは確認することができないが、常用求人が少ないことから、就職が決まった人の中には、そういうケースもあると思われる。

 --ほかの地域と比較して、北海道に地域的な特性はあるか。

 田村 北海道は広大であり、その中に22のハローワークが存在している。各ハローワークの地域が独自の労働市場圏を形成している。水産加工が盛んな地域から牧場が多い地域、製造業が集積する地域など、多種多様である。

 以下、後編に続く。(ききて・久保)

 

 

後編
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