東京商工リサーチは8日、今年1月の「全国企業倒産状況」(負債総額1000万円以上)を発表した。
倒産件数は前年同月比297件減(21.8%減)の1063件。6カ月連続での前年同月比減少となり、2007年12月以来、2年1カ月ぶりに1100件を下回った。
負債総額は、同1兆2192億4700万円増(210.3%増)の2兆6032億3800万円。「日本航空」(JAL)と関連会社「日本航空インターナショナル」「ジャルキャピタル」の2社が会社更生法を申し立てたため、3社の負債が総額の約9割を占めた。1月としての負債総額は、2003年(1兆2192億4700万円)を大幅に上回り、過去最大。
産業別の倒産件数は、建設業が最多の266件。以下、サービス業他241件、製造業161件、小売業130件、卸売業120件、不動産業52件、情報通信業46件、運輸業39件、農・林・漁・鉱業7件、金融・保険業1件の順。情報通信業と農・林・漁・鉱業を除く8産業で前年同月の件数を下回った。
倒産原因の内訳は、販売不振758件、既往のシワ寄せ(赤字累積)83件、他社倒産の余波72件、運転資金の欠乏63件、事業上の失敗45件、金利負担の増加、その他(偶発的原因)各8件、事業外の失敗、売掛金回収難、設備投資過大各6件、取引先の打ち切り5件、融手売操作2件、在庫状態悪化1件。
倒産形態は「消滅型」(破産、特別清算)が749件、再建型(会社更生法、民事再生法)が54件、銀行取引停止242件、内整理18件だった。
地区別の倒産件数は、9地区すべてで前年同月を下回った。北海道38件(同36.7%減)、東北42件(同4.0%減)、関東415件(同39.0%減)、中部118件(同6.3%減)、北陸31件(同27.9%減)、近畿282件(同19.0%減)、中国32件(同45.8%減)、四国28件(同39.1%減)、九州77件(同34.2%減)。北海道は、7カ月連続で前年同月比減少となった。
同社は今後の動静を次のように観測している。
「JAL関連を除いた負債(2810億5700万円)は、1991年以降の20年間の月次負債では、93年1月(2615億3100万円)に次いで2番目に少ない金額で、小・零細企業を中心にした傾向が強まっている。公共投資の前倒し効果が残る地方で、建設業の倒産減が全体を押し下げている。だが、デフレ進行に伴い小売業やサービス業の倒産が徐々に目立ち始め、これまでと様相がやや変わりつつある。なかでもスーパー、娯楽業、飲食業など個人消費関連で倒産が増加し、動向が注目される」
「09年12月、中小企業等金融円滑法が施行された。当初のアナウンス効果で、住宅ローンや企業の借入返済猶予への相談が各地で相次いでいる。1月の倒産減少は、返済猶予や条件緩和による資金繰り緩和と公的支援策の相乗効果で生じた一時的な状況か見極めが必要だろう」
「返済猶予と資金調達は別次元で、金融機関の新規・追加融資への貸出姿勢はさほど変化していない。返済猶予後の資金調達には具体的な『経営改善計画』が必要だが、景気の先行きは不透明で中小企業の計画策定は難しいのが実情だ。さらに、中小企業の借入償還能力は乏しく、赤字補填など後ろ向き資金需要を含めた金融機関の貸出姿勢には注目する必要がある」
「建設業の倒産が沈静化した地区でも、政策効果の息切れなどから倒産が増える可能性が高まっている。また、デフレ進行で価格競争が激化する流通業や消費関連サービス業、製造業など幅広い業種で小・零細企業の息切れが出始めており、これから年度末に向け予断を許さない」
1月の企業倒産に伴う従業員被害者は2万2892人。02年3月(2万0863人)以来、7年10カ月ぶりに2万人を超えた。(文・東)
東京商工リサーチ
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