2月の全国企業倒産 負債10億円超の大型倒産が19年ぶりに40件割れ

全国的に減少傾向が続き、9地区すべてで前年同月比減。

 

 東京商工リサーチは8日、今年2月の「全国企業倒産状況」(負債総額1000万円以上)を発表した。

 倒産件数は前年同月比228件減(17.3%減)の1090件。7カ月連続での前年同月比減で、2月としては2006年以来、4年ぶりに1100件を下回った。

 負債総額は、同7903億2200万円減(64.2%減)の4388億3300万円。通信業界では戦後最大となる「ウィルコム」(負債2060億円)の倒産があったが、負債10億円以上の大型倒産は同61.4%減の37件にとどまり、1991年2月の38件以来、19年ぶりに40件を下回った。

 産業別の倒産件数は、建設業が最多の273件。以下、サービス業他254件、製造業169件、卸売業133件、小売業122件、情報通信業60件、不動産業32件、運輸業29件、金融・保険業10件、農・林・漁・鉱業8件の順。件数が前年同月を下回ったのは、建設、製造、卸売、不動産、運輸の5産業。

 2月は「不況型」倒産(販売不振、既往のシワ寄せ、売掛金等回収難)の構成比が過去最高の83.4%に達した。内訳は、販売不振819件、既往のシワ寄せ(赤字累積)88件、他社倒産の余波76件、運転資金の欠乏39件、事業上の失敗34件、その他(偶発的原因)7件、金利負担の増加、信用性低下(取引先の打切り)、設備投資過大各6件。事業外の失敗5件、売掛金等回収難3件、融手売操作1件だった。

 倒産形態は「消滅型」(破産、特別清算)が826件、再建型(会社更生法、民事再生法)が39件、銀行取引停止205件、内整理20件だった。

 地区別の倒産件数は、2カ月連続して全地区で前年同月を下回り、全国的な減少傾向が続いている。

 北海道は8カ月連続で前年同月比減少の35件(同30.0%減)。東北45件(同28.6%減)、関東426件(同10.3%減)、中部135件(同12.4%減)、北陸19件(同44.1%減)、近畿300件(同12.5%減)、中国40件(同34.4%減)、四国25件(同32.4%減)、九州65件(同23.5%減)。

 同社は今後の動静を次のように観測している。

 「昨年12月に施行された『中小企業等金融円滑化法』に基づく緩和実績を大手6行が発表した。12月末時点での中小企業の申込件数1万5429件に対し、条件変更に応じた件数は3103件と、前向きな対応がうかがえる。地銀、信金、信組などもほぼ同様の対応とみられるが、すでに法施行前から積極的に条件変更に取り組んでいた金融機関もあり、倒産の急ブレーキにつながった」

 「一方、『景気対応緊急保証制度』は、2月25日現在の保証承諾件数(速報値)が96万2621件、保証金額は17兆8963億円。また、同24日現在、日本公庫のセーフティネット貸付は34万8711件、実績6兆0603億円、商工中金の危機対応業務も2万9953件、実績1兆9213億円に達している。景気や中小企業業績の回復が遅れるなか、倒産が減少に転じたのは政策下支え効果で資金環境が緩和したことが大きい。しかし、条件変更は一時的な緩和策で窮状の先送りに過ぎない。当面、具体的な『再建計画』を描ける企業だけでなく、条件変更しながら先行きが不透明な企業に貸出が実行されるかがポイントで、金融機関の貸出姿勢を見守る必要がある」

 「国民総生産(GDP)が3期連続改善し、1月の完全失業率(季節調整値)も4.9%と10カ月ぶりに5%を下回り、景気の二番底懸念はやや薄らいできた。3月2日衆議院を通過した2010年度予算案は公共事業費が09年度当初予算比18.3%減と過去最低の下げ幅となった。民需が低迷するなか、予算削減が地方を中心に倒産が減少していた建設業にどう影響を及ぼすか注目される」

 「資金需要が旺盛になる年度末を迎えたが、倒産傾向が大きく流れを変えることはないだろう。しかし、返済猶予を受けた企業も、業績回復が遅れ、新たな資金を調達できないと緩和効果が数カ月後には薄れる。金融機関の対応に加え、業績回復と景気動向の綱引き次第では、企業倒産は建設、小売、製造、消費関連サービス業を中心に、夏頃から増勢に向かう可能性も高い」

 2月に発生した従業員被害者は、「日本航空」と関連2社が倒産した1月の2万2892人から大幅減の8401人となった。(文・東)


東京商工リサーチ
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